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今さらミッドサマーみた

映画「ミッドサマー」のネタバレしか含まない記事です


アマプラでミッドサマーを観て、無事に「オフゥ…」ってなったので、感想とかを書き記しておきたいと思います。

一言でいうとこの映画は、なんか嫌なことが起こりそうな雰囲気を終始漂わせつつ、期待どおりに嫌なことが起き続けるという新手の精神攻撃のようなアレでした。

夏至祭を見物するためにスウェーデンのとある村落に遊びにいったら、そこがやべえ儀式をやりまくる超変態カルトの集団で……という感じの物語です。

劇中やたら美しい風景とか幸せそうな音楽に乗せて嫌な場面をぶちこんでくるので、二重三重にキツイものが味わえます。

「オヤオヤ、こんなに美しく素晴らしい場面なのに、あなたはなぜ顔をしかめているんだい?」

的な底意地の悪さというか。


~うろおぼえ登場人物紹介~

●ダニー
主人公の女子大生。クリスチャンの彼女。
重度にメンをヘラった妹がおり、そのせいで自分自身もかなりヘラっている。
最後、いろいろあって物理的に炎上するクリスチャン(彼氏)を見て、笑顔になる。

●クリスチャン
ダニーの彼氏。
ヘビーメンヘラと化したダニーと別れたいが切り出せない優柔不断なイケメン。
最後、熊のコスプレをさせられ生きたまま燃やされる。

●ジョシュ
クリスチャンの大学生仲間の黒人。
村の風習とかの研究にギラギラしている。いろいろ感じが悪い。俳優さんは40歳らしい。
村の重要文書を盗撮してるところを見つかり撲殺される。

●マーク
「ウヒョーっ、あのオンナ孕ませてぇーっ」が口癖の快男児。
下半身のおもむくまま、一貫して空気を読まない行動を取りまくる勇者。
神木に小便をかけた挙げ句、全身の皮を剥がれて死ぬ。

●ペレ
スウェーデンの激ヤバ村出身の大学生で、クリスチャンたちを夏至祭に招いた張本人。
ものごしも柔らかく、思いやりもあり優しいのに溢れ出るサイコパス感。
最後、外部から生贄を連れてきた功績で無事に燃やされる。
よく見返したら燃やされたのは別の村人で、ペレは草冠授与されて生きてましたね。最悪やコイツ。


冒頭。
やたら意味ありげで不穏なイラストが描かれたタペストリーが出てきて不安を煽ってきます。
なんかこれ、よく見たらその後の物語を全部暗示してるそうで……。

ダニー妹が極限メンヘラ化し、両親を巻き込んでガス自殺を敢行。
ドアの隙間とかにめちゃくちゃびっちりテープで目張りしており、ぜったいにガスは漏らさねーぞという鉄の意志を感じさせる周到な手口。

精神的にまいってしまって、すっかりクリスチャン(彼氏)に依存するダニー。
一方、もう正直しんどいから別れたいけど別れられないクリスチャン。
「あんなめんどくせえ女となんか別れちまえよ。そしたらあのウェイトレスを孕ませることだってできるんだぜ?」
わかりやすくゲス発言を繰り返すマーク。
ペレに誘われたスウェーデン旅行ではなんかいろんな穴場でヤリまくれるらしく、期待に胸と股間を膨らませていました。

話の流れで男連中のスウェーデン旅行に同行することになったダニー。
ペレの故郷の村は、いにしえの生贄の風習とかがゴリゴリに残るエクストリームな村でした。

夏至祭の初日。
ほんのオープニングセレモニーとばかりに、72歳を迎えた老人が高い崖の上から紐なしバンジーを敢行します。ここぞとばかりにグロ画像。
見事に死ねないと、村人たちからめちゃくちゃブーイングされたあげく、でっけえ杵で顔面を砕かれます。
さすがにどん引きするダニー一行。

いっぽう、年頃になった村娘の一人に目をつけられたクリスチャンは、以下のような村に伝わる恋のおまじないで猛アタックされます。

好きな男の枕(ベッド)の下に御札(ラブ☆ルーン)を置く
食べ物に自分に陰毛を混ぜて食わせる
飲み物に自分の経血を混ぜて飲ませる
ラブラブになる

おまじないというか、けっきょくは催淫剤みたいなものを混入した飲み物と精力増強ミストみたいなやつのパワーで強制的にセックスアニマルとなり、裸の女性たちに囲まれながら村娘と合体。
行為の最中に、真剣な顔つきをした老婆が腰を後ろから押したりしてきます。ピストン職人でしょうか。熟練の業を感じました。

そんな空前のエロ行事が繰り広げられているとはつゆ知らず、ダニーは村娘たちに混ざって、メイクイーンを決めるための極限ダンスバトル大会に参加していました。
メイクイーンに選ばれるのはたいへんな栄誉らしく、村の建物の中に歴代メイクイーンの写真が飾られたりしてるのですが、村の中には誰一人メイクイーンだったという女性がおらず、おそらくロクでもないアレなんだろうなということが容易に想像できます。

映画の視聴者全員が
「いいか? オイ優勝するなよ? なあオイぜったい優勝するなよ?」
と思っている中、見事ダンスバトルに優勝してしまうダニー。
令和によみがえった上島竜兵と言わざるをえません。

さらには彼氏のクリスチャンが村の娘とピストン行為してるところもきっちり目撃してしまい、感情がバグってしまいます。

「メイクイーンは生贄の最後の一人を選ぶことができるよ。
 生贄ガチャで選んだ知らん村人Aか、彼氏のクリスチャン。どっちにする?」

と司祭(村長)に問われるダニー。
こんなもん普通に考えたら村人A一択なんですが、この時点でダニーはもういろいろ限界だったので、この映画のお作法どおりにクリスチャンが無事に選ばれました。
(ダニーがそれを選択するシーンが直接的に描かれないのが、また……)

神殿と称した小屋に、殺されたジョシュやマーク、同じように夏至祭に訪れていたカップルの死体が配置されます。
生贄を外から調達してきたことで名誉ある生贄に選ばれた村二人も入ります。
中央に、熊の生皮に包まれたクリスチャン。薬で身体は動きませんが、意識はある状態です。

これはハッピーエンドだよと言わんばかりの美しい音楽とともに燃やされる小屋。
で、この映画最高の胸糞ポイントの一つだと思うんですが、焼死する直前、ペレといっしょにいた村人が最後に恐怖と絶望でめちゃくちゃ泣きわめくっていう……。
いやお前らもやっぱり死にたくないんじゃねえかよ!っていうね……。
燃える小屋の外では、嬉しいのか悲しいのかよくわからん謎テンションで村人たちが乱舞。惨劇のキーマンであるペレとか、どう見ても嘆き、泣き叫んでるように見えます。

村人とともに、炎につつまれ燃え落ちる小屋を呆然と眺めるダニー。
そしてその顔には笑顔が……という締めくくりでした。

おまえなにわろとんねん。

と言いたいところですが、そんな単純なツッコミでは消化しきれない複雑な感情がわきあがりましたね。まさに問題作というか……。

作中、いろんな小ネタやら伏線があり、考察なんかもたくさんされてるようなので、そのへんを漁って読むのも楽しみなところです。
いやしかし……とにかくいろいろ救いがない話だったんで、エンドロールぐらいはジェッキーチェンの映画みたいなNGシーン集にしてほしかったところですがね!


なんだかんだおもしろかったので、近いうちに同じ監督の「ヘレディタリー 継承」も観ると思います。
例によってまったく内容を知りませんが、たぶんろくでもねえもんを継承するんだろうなー。

漫画「瓜を破る」が尊すぎて死ぬ

尊いんですよ……

唐突にすいません。
長らく放置していたブログを更新してしまうほどに瓜を破るの最新話が面白いとかを通り越して完全に神々しいまでに尊かったのですが、待望しすぎている続きの掲載が1ヶ月以上も先という事実を受け止めきれず、もうこの感情のぶつけどころがわからなくて――夏。

瓜を破る」を知らないという不幸な方々向けに順を追って話しますと、これは週刊漫画TIMESに連載されている漫画ですね。
あの「解体屋ゲン」が連載していることでも有名な漫画誌です。当然みんな知ってるね。

ちなみに現在、単行本が4巻まで出ています。
Amazon Primeで1巻は無料、Kindle Unlimitedに入ってれば2巻も無料で読めます。

かくいう俺もなんとはなしに無料の1・2巻を読んだのですが、そのままノータイムで続巻をすべて購入し、さらには続きが読みたすぎて週刊漫画TIMESもKindleで購入し、今では日付が変わった直後に最新話が掲載された号を読むというリアルタイム拝読勢の仲間入りを果たしました。

話の内容としては、30代になっても性経験のない女性がいろいろ奮闘する……的な話なのですが、主人公(香坂まい子・32歳OL)の物語を主軸としつつ、彼女の同僚の女性たちにも代わる代わるスポットライトが当てられる展開になってまして、いわゆる群像劇のような構成です。
ちょっとした脇役のような人物にも、実は苦しみや悩みがあり、喜びや救いがある。生きている。
こういうの弱いんですよ……登場人物みんな好きになっちまう……。

そういうわけで未読の人は下記リンクからさらっと最新話まで履修いただくものとして、

~最新話まで~


ここからは最新38話で生じたビッグバン的な感情というか感想を吐き出していきたいと思います。
とうぜんながらネタバレがある……というかネタバレしかないのでご注意ください。


まず鍵谷よ……
言わせてくれ……

ありがとうと……!

1巻の時点から苦悩し、時には深く傷ついてきたまい子……。
そんな姿を見てきた俺は、もはや彼女の父親になったような謎の心境で見守っておったんですが、彼はやった。
やってくれた。
いや正確にはまだヤッてないんですが、こちらの想像を超えた神の対応を見せてくれました。

「話があるんです」のところの、まい子の絶望に満ちた表情よ……。
いや俺も一瞬思いましたもん。
おいおい、せっかくイイ雰囲気になってるのに何を言い出すつもりやこいつは……と。

しかし、彼はあの状況で……あの状況から……。
それまでさんざん散りばめられていた不穏な伏線をものともせず……。

※鍵谷は自分に自信がなく、きちんとまい子に交際を申し込むことができない……的な雰囲気が常にありましたよね。
 ちなみにこの数話前にあったまい子と友達の会話
「(鍵谷さんは)仕事も正社員なんでしょ?」
「あ どうだろ詳しく聞いたことないな」
 は、完全にやべえフラグだと思ってました。


ここはもう感情のジェットコースターぶりがすさまじすぎて、まい子と同じように俺も泣いてました。
ホワ…ってなりながら泣きました。

ええ、冒頭に書いたように感謝の念で涙を流しました。

彼は……世の中の全男性の……
いや全童貞の次元をひとつ上の領域(レベル)に押し上げてくれたんですよ!

自分でもなにを言い出したのかよくわかりませんが、とにかくそういうことなんですよ。

ありがとう、ありがとう……鍵谷……!
お前になら……安心してまい子を任せられる……!

「あの……あの……」
「! それ(コンドーム)も買ってきます!

おい、こんなカッコいい童貞おるか?
はたしてどこまで昇る……昇り詰めるというのか、この男……。
初登場時の目つきの悪さや粗暴な雰囲気が嘘のようです。

おまえたち、早く……早く幸せになってくれ……そしてあわよくばその尊い暮らしを……できれば永劫に連載してください……お願いします……
と祈りにも似た心の叫びを抑えつつ次回掲載を待ち望んでいるのですが、それが1ヶ月先という新手の拷問。
この心のスキマは……解体屋ゲンで埋めるしかないのか……?

なんか最後のページのアオリ文「…長い夜の始まり」とかめちゃめちゃ思わせぶりに書いてあるし、まさに絵に描いたような煽り文句ですよ。

あなたたち……と……とうとう……やるのか……?
やる……よね?

正式に交際することになり、きっちりコンドームも買い、互いにシャワーも浴びて、さすがにもうなにかの邪魔が入ることもないはず……。
あるとすれば鍵谷のアレが土壇場でエレクチオンしない的なアレですが……あったとしても些細な問題ですね。以前、普通に固くなってましたしね。
むしろそういうトラブルは我らにとっては褒美…………。
そもそもこの二人、互いに性経験があるものと思いこんでますが、それもとうとう……うおっ…………。

しかし長かった……
単行本にすると5巻程度で、短いながらもいろいろなことがありました。
1巻の奮闘ぶりを読み直してから最新話を読むと、また泣けるんですよ……よかった……よかったねえ、まい子……!

なし崩し的に深い関係になってしまったように思えるまい子と鍵谷ですが、非常に細かいところで少しずつ互いに惹かれ合う描写があって、それがまた尊いんですよ……。

鍵谷は最新話のアレは言わずもがなとして、映画デートの時には監督について調べてきたりとか、地味な努力の姿勢がいいんですよね。
死ぬほど照れつつもまい子の服装を褒めたり、決して受け身なだけではないというか。
直接的な描写はないですが、たぶん女性とのデートについてとか、彼なりにめちゃめちゃネットで調べて勉強してると思います。……。
変なところで見栄をはったり嘘をついたりしないのと、ごめんなさいときちんと謝れるところもポイント高し。誠実さの申し子か。

まい子はまい子で、会ったときにいつも笑顔で服装を褒めてくれたりしますし。(※これをやられると童貞は例外なく死ぬ)
ところどころで暴走気味なところもありましたが、今思えばそれらもすべてなけなしの勇気を振り絞っての行為だったと思えますし、その結果として当然のように幸せになるべき……なってくれ…………。

こんな可愛くて性格もよく人を思いやれて気配りもできて服も褒めてくれる娘がこれまで男性経験皆無というのが、この作品最大の謎ではありますが、それもすべて鍵谷という至高の童貞と出会うためだったと考えればなにもかも納得できます。納得せざるをえない。

そんなわけで毎回クライマックス的な盛り上がりを見せ、その次の回で軽々と想像を超えた尊さをぶち込んでくるやべぇ漫画「瓜を破る」の話でした。


……いや、でも四十超えたおっさんがこんなに漫画(それも対象的にはおそらく女性向け漫画)にハマることってある?
わりと自分でもびっくりしてて、そうは思いつつも単行本や最新話を毎日のように読み返しております。それこそ1コマ1コマ愛でるように楽しんでます。
たまにデフォルメされて描かれるキャラとか、ほんとかわいいんですよ……今までだれにも言ってませんでしたが、個人的に無限に推せる漫画です。

バッファロー・ミーツ・サムライ

バッファロー・ミーツ・サムライ
井上 雑兵


 異世界に転生したバッファローマンは困惑していた。
 だれであろうと、なんの前触れもなく異世界に転生したならば困惑するものだ。
 しかしバッファローマンはただの人ではない。というか、正しくは人間ではない。
 超人であった。
 超人。それは文字通り人を超越した存在である。
 彼らはすばらしい知性と力をもち、ときには巨大化して怪獣と戦ったりもする。
 どういう事情なのか、世間にあまり怪獣が出現しなくなってからは、プロレス団体のような組織に属した超人同士で派閥争いをしたり、壮絶にかぶり心地が悪そうな上にやたらたくさんニセモノが存在するマスクを奪い合ったり、どこぞの星の王座をめぐって争ったりもした。
 とにかく、超人とはそういう存在なのであった。
 詳しく記せば、このバッファローマンはもともとは「悪魔超人」であった。
 悪魔超人とは、文字通り悪魔のように悪い超人のことである。その中でもバッファローマンは筋金入りの悪魔超人であった。どれほどの悪魔っぷりであるかというと、小さな子どもの身体を五分割して人質にとり、一定時間が経過するたび身体のパーツを次々に爆破するという猟奇的なシステムで決闘を行ったほどだ。
 だが、バッファローマンは変わった。
 キン肉マンという正義の超人との死闘を経て友情にめざめ、正義超人に転向したのだ。
 一言でいうとそういうことであるが、その変節に至るまでにはいろいろなことがあった。紆余曲折と表現してもいい。
 いっぺん死んで、なぜかあっさり生き返ってみたり、正義超人になったと思いきや悪魔側に寝返った……と思わせておいて実はやっぱり正義にめざめていた……などと、バッファローマンという超人はいささか面倒くさい行動をとりがちであった。さらに面倒なことに、バッファローマンはその昔、本来は正義超人であったが、力を求めるあまりに悪魔に魂を売り、悪魔超人となった……というややこしい来歴を持っていたりもした。
 そのような複雑な過去をいささかも垣間見せぬ、妙に硬そうな素材でできたレスリングパンツ一丁という豪快かつ簡素な出で立ちで、バッファローマンは異世界に降り立っていた。


 うっそうと針のような木々が並び立つ山野の中でめざめたバッファローマンは、ひとまず人里を目指して山を降りることにした。
 その途中、薄汚れた装束に身を包んだ人間の集団に襲われた。
 人間たちはいわゆる野盗の集団であった。
「なんだこいつ……ツノが生えてやがる!」
 バッファローマンを新手の魔物と勘違いし、問答無用で襲いかかってきた。
 野盗たちにとっては不幸なことに、バッファローマンは新手の魔物などよりもよっぽど危険な存在であった。
 その巨躯にふさわしい壮絶なパワーを誇る彼は、軽々と野盗全員をぶちのめした。
 その後、おもむろに野盗の一人を絞め上げ、バッファローマンは訊いた。ここはいったい地球上のどこなのか。雑な設定の異世界転生の常で、なぜか言語の壁はなんら意思疎通の障壁にはならなかったが、もともとバッファローマンが生きてきた世界の言語もある意味では無国籍だったので、とくに気にはならなかった。
 野盗が語った国の名は、まったく聞いたことのないものだった。地球上のどこにも存在しない国。言い換えれば、この世界には地球が存在していないのだった。
 そうしてバッファローマンは、己が異世界の大地に立っていることを知った。

 その西洋風の世界の環境は、都合よく地球に酷似していた。
 大きく異なるのは、オークやゴブリンのような異形の魔物が跋扈していることと、「魔法」と呼ばれる超常的な技術が存在していることであった。
 エルフだのドワーフだのという定番のファンタジー種族も存在し、探せば当然のように魔王や勇者もいるであろう、そこは典型的な異世界であった。
 友情パワーの偉大さを思い知らされたとき以来の衝撃に見舞われたバッファローマンは、実のところさすがに困惑しそうになった。
 だが、よくよく考えてみれば、もと居た地球には得体のしれない異形の怪物……いや超人がアホほど存在していたし、自分をはじめとして超人たちが発揮するパワーは、原理は不明だがほとんど魔法のようなインチキじみた効果を発揮していたので、そこまで困るほどのことでもないのかもしれなかった。
 生きていくことに難儀こそしないが、超人のいない世界で生きることは、彼にとっては難しかった。
 熾烈な戦いそのものが、彼の人生だったからだ。

 バッファローマンは異世界を旅した。
 目についた魔物を倒し、無数の山賊や野盗を倒した。それらはどれも脆弱で、かつての好敵手たる超人たちに比肩しうるものでは到底なかった。
 異世界に漂着した男の困惑は、やがて元の世界へ帰還できぬという焦燥にとって代わった。
 そうして漂泊する男の心の裡は、ゆっくりと絶望と諦念に塗り替えられていった。まるで超人予言書が炎に蝕まれ、澱みのように黒く焼け落ちるかのごとく。

 バッファローマンが一人のサムライと出会ったのは、そのようなときであった。


 苛烈な陽光がようやく地平の彼方へとその身を横たえようとしていた。
 国の辺境へとつづく街道を歩んでいたバッファローマンは、道の傍らに黒いものがあることに気づいた。
 薄汚れたぼろ布の塊のようであった。
 通りすぎようとすると、野太い声がした。
「よお、そこのけったいな格好したあんちゃんよ」
 よく見れば、ぼろ布の間に浅黒い顔があった。口髭を蓄えた壮年の男が、地の上に大の字になって寝っ転がっているのだった。
「なんか食いもんくれねえか。腹が減って動けねえんだよ」
 男はよく通る低い声で、情けないことを口にした。
「……」
 バッファローマンは背負っていた頭陀袋から一切れの干し肉を取り出し、男に放ってやった。それは数日前に野盗の群れを殴り倒して奪った糧食であった。
「ありがてえ」
 男は半身を跳ね起きさせるや、その場であぐらをかいて肉にかじりついた。男がまとう布の衣服の腰には薄い臙脂色の帯が巻いてあり、そこには無造作に一振りの刀が差し込んであった。そのような姿をした者を、バッファローマンは元の世界で見たことがあった。
 バッファローマンは男に訊いた。
「あんた、その服はもしかして日本のキモノか? 日本人なのか?」
「ん? ああ、そうだ。俺は日本人だよ」
「ほ、本当か!」
 それはバッファローマンがこの世界に来てはじめて目にした希望であった。自分と同じ世界からやってきた男。もしかすると、元の世界に帰るすべを知っているかもしれない……。
 しかし着物姿の男の返答は、どうにも要領を得ないものだった。
「バッファ郎サン……といったか。すまねえが、俺にも詳しいことはわからねえんだよ。なにせ手前の名前すらわからねえ有様でよ」
「なんだと? あんた、まさか記憶が……」
「おう、さっぱりよ。自分が日本人だってことはわかるんだけどよ。それ以外はなにひとつ思い出せねえ!」
 快活にそう言い放つ男に、いささかバッファローマンは鼻白んだ。それにかまう様子もなく、薄汚れた着物の男はどこか飄々とした調子で話をつづけた。
「あんたと同じで、気がついたらここにいたんだよ。こんな格好してるってこたあ、ひょっとすると江戸時代あたりからタイムスリップしてきたのかもしれねえな」
 自らの着物の裾を眺めつつ、男は首を傾げた。
「ふん、タイムスリップなんて言葉を知っている時点で、そう昔の人間ではないだろう」
「はっはっ、ちげえねえや」
 男は無精髭の浮いた顔に人懐っこい笑みを浮かべてみせた。お世辞にも柔和とはいい難い厳つい面相をしているが、相好を崩すと奇妙なほどに愛嬌のある男だった。


 やがて日が暮れた。
 二人の男たちは街道から少しそれた場所に移動し、野営のための焚き火をしつらえた。過去の記憶がないとうそぶく着物の男は、バッファローマンの持っていた糧食を使って、簡素だが彩りのある夕餉をつくってみせた。存外に慣れた手つきだった。
「記憶がないというわりには、あんた、それほど困っているようには見えないな」
 味の薄いスープをすすりながら、バッファローマンは向かいに座る男に話しかけた。着物に刀を帯びた男は、眼前の炎に薪をくべながら静かに答えた。
「まあな。自分でも不思議だけどよ。失って困るような記憶でもなかったのかもしれねえな」
 そう言って、男はまた屈託のない笑みを浮かべた。
「ふん……おかしな人間だな、あんた」
 知らず、バッファローマンも薄い笑みを浮かべていた。彼がこの異世界に飛ばされてきて以来、初めてかたちづくった表情だった。
「いやいや、あんたほどおかしな人間じゃないつもりだぜ。レスリングの興行みてえな格好して、頭にでっけえツノまで生やしてよ」
「おれは人間じゃない。超人だ」
「は? 超人って……なんだよ、そいつは」
 バッファローマンは超人について語って聞かせた。着物の男は黙ってそれに耳を傾けていた。ある意味で同郷の者と出会い、気が緩んだのかもしれない。バッファローマンは己が少し饒舌になりすぎていると思ったが、それでも語ることをやめられなかった。
 超人のこと。数々の戦いのこと。
 正義超人の使命、そしてかけがえのない仲間たちのこと。
「ふうん……あんた、おっかねえ顔のわりには情に厚いんだな」
「バカなことをいうな。俺はもともとは残虐ナンバーワンとうたわれた悪魔超人なんだ……ただ、あいつらにはたくさんの借りがあるからな」
 繰り返しはぜる炎の照り返しが、超人の相貌に深い陰影を投げかけていた。やがて、そこになにがしかの答えを見出したように、記憶をなくした男は宣言した。
「ようし、決めたぜ。バッファ郎、俺はあんたが元の世界に帰るために手を貸す」
「なに? 勝手なことをほざくな。記憶のない男がいったいなんの役にたつというんだ」
「断ってもむだだぜ。一飯の恩義もあるしよ。それに別の世界から来たもん同士がここで出会ったことは、たまたまじゃなくてなにか意味があるのかもしれねえ。違うか?」
「むう……」
 そう言われてはバッファローマンには返す言葉が見つからなかった。元の世界にはサタンやら超人の神などという人知を超えた存在がうようよしていた。この異世界にもそのような超自然的なものが存在し、なんらかの意思をもって自分たちの命運を握り、操っているのかもしれない……。
 ややあって、バッファローマンはゆっくりと首肯した。
「では、力を貸してもらおう。ところで……名もなき日本人よ。あんたのことはなんと呼べばいい?」
 問われた男は、首をひねった。
「そうだな。俺はべつに名無しの権兵衛でかまわねえけどよ」
「そんなわけにもいくまい。そうさな……」
 着物姿に刀を差した男の風貌をしばし眺めたのち、バッファローマンは告げた。
「『ザ・サムライ』……あんたは今日からザ・サムライと名乗るがいい」
 こうしてバッファローマンと一人の侍……いやザ・サムライは、異世界における旅の道連れとなった。


 しばしの時が流れた。
 超人バッファローマンと、記憶をなくした日本人ザ・サムライ。この奇妙な二人組は、その目立つ風体もあってか、それまでにも増して盗賊の類から狙われることになった。
「ハリケーン・ミキサーッ!」
 その日も二人は十数人ほどの徒党を組んだ野盗に襲われていたが、バッファローマンが繰り出した猛突進により、たちまちその半数が錐揉み状に回転しつつ天高く放り上げられた。
 打ち上げ花火を眺める風情で、ザ・サムライが感嘆の声をあげた。
「ほう、たいしたもんだな。しかし、なぜ横からの体当たりで相手は真上に吹っ飛ぶんだ?」
「さあな」
 それは技を放った当のバッファローマンですらあずかり知らぬことであった。直後、野盗たちは大地に激しく叩きつけられ、全員が悶絶した。
 一瞬で残りわずか数人となった野盗は、頭に巨大なツノを生やした奇怪な巨漢よりも、着物姿の男のほうが与しやすしと判断したらしい。手にした斧や剣を向けながら、じりじりとザ・サムライを押し囲んだ。
「俺とやるのか」
 ザ・サムライは腰に佩いた刀の柄に手をかけ、不逞の輩どもを睨めつけた。まるで見えないなにかに射抜かれたように、盗賊たち全員が大きく身を震わせた。なかには武器を取り落とす者すらいた。
 かちり。
 刀の鍔を小さく鳴らすと、堰を切ったかのごとく盗人どもは叫び声をあげながら逃散してしまった。
 気絶した盗賊どもを縛り上げながら、バッファローマンはザ・サムライに声をかけた。
「おまえのほうこそたいしたものだな、ザ・サムライよ。気迫だけで連中を追い払ってしまうとはな」
「いや、単なるハッタリよ。もし斬りかかられてたらやばかったぜ」
 そのザ・サムライの言葉を、バッファローマンは日本人特有の謙遜と受け取った。
「そんなはずはあるまい。その刀も、相当のワザモノとみた」
「へへっ……そう思うか?」
 ザ・サムライは刀を抜き放ち、その刀身をバッファローマンに差し出してみせた。
「よく見なよバッファ郎。こいつはニセモノだ。模造刀ってやつだな」
「なに……?」
 屈強な超人があっけに取られた顔がおかしかったのか、ザ・サムライは声高く笑った。
「そういうことだ。だから戦いはあんたに任せたぜ」
 ふたたび野放図に笑った。
 バッファローマンは小さくため息をついた。
「ザ・サムライよ。おれには……おまえという男がよくわからん」
「それはそうだろう。そんなもの、この俺自身にすらわからんのだからな」
 そう言い放ち、ザ・サムライは呵呵と笑った。
 男を目にしながら、バッファローマンは圧倒されるものを感じていた。
 パワーやスピードでは、超人強度一千万パワーを誇る俺のほうが圧倒的に強い。だが……この男の心は、どこか測りしれぬ。単純な数字などでは測れないのかもしれない。
 かつて絶望という名の黒く垂れ込めた雲霧に閉ざされていた己の心が、気がつけば夏の青空のようにどこまでも澄み渡っていることにバッファローマンは気づいた。
 ザ・サムライの底抜けの楽観ぶりが、いつの間にか自分にも感染してしまったらしい。
「まったく、本当におかしな人間だな」
 わずかに口元をゆがめて、超人はつぶやいた。


 旅をつづけるうち、バッファローマンたちは過去に自分たち以外にも異世界からの転生者がいたことを知った。
 国に大いなる魔物が栄えしとき、転生者はこの異世界に招かれる。彼らは魔物を打倒したのち、元の世界へと帰還していった……そのような伝承が各地に伝わっていたのだった。
「オークの王……オークキング。ここがやつの根城か」
 瘴気ただよう不気味な山嶺を見上げながら、ザ・サムライがつぶやいた。
「ああ。この国でモスト・デンジャラス(もっとも危険な)モンスターだ。そいつを倒せば俺たちは元の世界に戻れる公算が高い」
 なぜか微妙に英単語を交えながらバッファローマンが応じた。
 オークとは醜い豚のような容貌をもつ人型の魔物で、女騎士を捕えては陵辱の限りを尽くし「くっ、殺せ」と言わせることを好む、獰猛かつ残忍な種族であった。この国に無数にはびこるオークは、まともに衛兵もおらず守りが薄い辺境の村々に莫大な被害を与えていた。
「困ってる村の連中も助けられるし、一石二鳥ってやつだな。まあ、あんたならきっと楽勝だろう。さっさと倒して元の世界にご帰還といこうぜ」
「そうだな。ザ・サムライよ、元の世界に戻れば記憶も戻るだろう。……そのときは一杯おごるぜ。カタルーニャワインの上物をしこたま飲ませてやろう」
「へへっ、あんたの故郷の酒かい……そいつはいいね」
 異世界で多くの戦いを切り抜けてきた二人の男が、ともに笑みを交わした。
 最後の戦いのはじまりであった。


 オークキングは強大だった。
 過去に何人もの転生者を葬ってきた魔物たちの王。もはや「魔王」と称される域に達した、それは怪物であった。
 オークキングの砦にて、無敵のコンビであったバッファローマンとザ・サムライは絶体絶命のピンチに陥っていた。
「バカな……おれのハリケーン・ミキサーが……!」
 猛烈な速度でオークキングに激突したバッファローマンが、まるで虫けらのように跳ね飛ばされていた。頭のロングホーンの片方が折れて、回転しながら宙を舞い、呆然としているザ・サムライの足元に突き立った。
 巨漢のバッファローマンよりもさらに二回り以上もの巨大な体躯を誇るオークキングは、醜悪な腕の筋肉を蠢かしながら、やすやすとバッファローマンの首を掴んで持ち上げ、天に掲げるようにして絞め上げた。
「う、ぐああっ……!」
「ば、バッファ郎ーっ!」
 オークキングは横目でザ・サムライに視線を向けた。次はおまえだ、とその眼は語っていた。
「に、逃げろ……ザ・サムライ……」
 頸部を砕かれそうになりながら、バッファローマンは戦友に呼びかけた。
「俺をサムライと呼んだな、バッファ郎。教えてやるよ……日本のサムライってのはな、弱きを助け強きをくじくもんだ!」
「よ、よせーっ!」
 バッファローマンの制止も聞かず、ザ・サムライは腰の模造刀を鞘から抜き放つや、気合いの声を発しながらオークキングに大上段から斬りかかっていった。
 どういうわけか、ザ・サムライの口から技の名前がほとばしった。
「居合斬りボンバーッ!」
 どこから見ても居合斬りではない上に、なにがどうボンバーなのかもわからぬまま、ザ・サムライは全身全霊をもって手にした刀をオークキングに叩きつけた。
 その直後、にぶい音がした。
 オークキングの硬い表皮に弾かれ、ザ・サムライの模造刀は根本から折れ飛んでいた。その刀身は奇しくも、折れたロングホーンと同じ場所に突き刺さった。
 無残に折れた刀を手にしたザ・サムライは、オークキングのもう片方の腕の一閃で薙ぎ払われた。軽々と数メートルほど吹き飛び、その場に伏した。
「がっ…ぐはっ……」
 その一撃で内臓をやられたのか、ザ・サムライは口元からごぼりと血の塊を吐いた。
「だ、だいじょうぶ……か……ザ・サムライ……」
 オークキングの手中で息も絶え絶えになりがらも、バッファローマンはザ・サムライの身を案じていた。
「すまねえ、やられちまった……どうやら俺は……この刀と同じく、ニセモンだったらしい……ぜ」
「ニセモノなどではない……おまえは本物の……サムライ……だ」
 その言葉を聞いて、血まみれのザ・サムライは自嘲じみた笑いを浮かべた。
「ちがう。ちがうんだよ、バッファ郎。思い出したんだ。ぜんぶ思い出したんだよ。俺は……俺はな、役者だ。サムライの役をただ必死に演じているだけの……ただの、ちっぽけな男なんだ」
「……」
「あんたみたいなすげえ力もない。あんたを助けることなんて、できやしない。そんな、情けねえ男なんだよ……!」
「……」
 バッファローマンは答えなかった。
 絶え間なく襲いくるオークキングの凶悪な膂力に、とうとう屈したのかもしれなかった。
 手応えのなくなった獲物にとどめを刺すべく、オークキングがいっそうの力を込めようとしたそのとき、異変は起こった。
 力を失ったかと思われたバッファローマンの両腕が持ち上がり、オークキングの掌を内側からこじ開けようとしていた。それは怪物にとって完全に慮外の、すさまじい力であった。
 死にかけていたはずのバッファローマンの両の眼には、ほとばしるような怒りが燃えていた。


「ふざけるな……ザ・サムライ……!」
「バッファ郎……あんた……?」
 バッファローマンが咆哮した。
「おれが……おれが、おまえにどれだけ救われたと思っているーっ! ザ・サムライ! ……いや、わが友よ!」
「なっ……」
 その言葉を耳にした瞬間、ザ・サムライの胸中に熱いものがわきあがった。それはマグマのように熱く、激しく、荒ぶるなにかだった。
 友。
 この俺を、友と呼んでくれるのか。
「おれの友を貶めることは……たとえおまえ自身であっても……このおれが許さん!」
 とうとうオークキングの巨腕をはじき返し、その拘束から逃れでたバッファローマンが叫んだ。
 ザ・サムライは、たまらず言い返していた。
「バッファ郎よ……俺はあんたみたいな超人でもなければ、サムライでもないんだぞ」
「そんなこと、関係あるかーっ!」
 バッファローマンが一喝した。いつの間にかその両の瞳から、とめどなく熱い涙が流れていた。そしてそれは、ザ・サムライも同じだった。
「いいかーっ! ザ・サムライよ! これからおれがこいつを宙に放り上げる! いっしょにとどめを刺すんだーっ!」
「お……おうっ!」
 反射的にザ・サムライは友の呼びかけに応じていた。
 その直後、宣言通りバッファローマンは先程とは比べ物にならないスピードとパワーでオークキングに突進した。
 荒ぶる竜巻のごとき勢いで魔物に激突したバッファローマンは、あらゆる物理法則を無視し、その巨体を宙空へと跳ね上げた。理屈や常識では計り知れぬ途方もない力が、バッファローマンの五体を突き動かしていた。
 ザ・サムライは理解した。
 あれが、あれこそが友情パワー。
 不可能を可能にする、男たちの熱き絆の力。
 彼ら正義超人の大いなる力の源。
「グワアァァァーッ!」
 苦悶の声をあげつつ、オークキングが回転しながら落下してきた。
 ただの人間、それも役者であるザ・サムライには超人のようなパワーなどない。それどころか刀も折れ、武器もない。おそらくは内臓も傷つき、骨も何本か折れているだろう。
 しかし。
「そんなこと……関係あるかよーっ!」
 ザ・サムライは鬼気迫る形相で雄叫びを発すると、その身にあふれる力にまかせ、走り出した。
 痛みも恐れも、なにもかもを忘れ、駆けていた。
 世界が白く染まっていく。己以外のすべてが淡雪のように消え去っていく。
 限りなく無に近しいその場所で、ただ男だけがそこに在った。在りつづけていた。雄々しく、輝かしく、勇ましく、ときには見苦しく、あさましく、その個はたとえ神や悪魔にすら左右することはできず、ただひたすらそこに在り、吼えるがごとく異彩を放ちつづける。
 男は役者だった。
 だが銀幕の中では、彼は紛れもなく剽悍な無頼の医者であり、凄腕の剣客だった。
 あるいは臆病な盗賊であり、欲得に目がくらんだ農夫でもあった。
 そして彼はサムライでもあった。
 まぎれもなく真のサムライであった。
 今このときがそうではないなどと、だれに言えようはずもなかった。

 そうだ、俺はいついかなるときも本物であろうとした。
 あのカタカタと音をたてるフィルムの一コマ一コマに、己の生きざまを叩きつけ、刻み込んできた。
 腰の刀を抜いて殺陣に挑むときは、相手を本気で斬り殺すつもりでいた。たとえその太刀に刃が備わっていなかったとしても。
 演じきるのだ。すべてを。
 ふと、どこかで声が聞こえたような気がした。


 友のため突風がごとく疾駆するその男は、一人のサムライだった。
 刃なき刀であってもそれが刀と呼ばれるように、たとえ刀を持たずとも彼はサムライだった。
 奇しくも友がそう呼んだように、その男はまさしくザ・サムライなのであった。

 反対側からはバッファローマンが走り込んできていた。
 オークキングの落下点へと。
 腕をかざしながら一人の男が叫んだ。
「合体技!」
 それに呼応してもう一人の男が叫んだ。
「ハリケーン・ボンバーッ!」
 一人の超人と一人の人間が……奇妙な友情の絆に導かれ、つながれた男たちが交差し……そして世界にまばゆい光があふれた。


 それは世界の理を超越した必殺技であった。
 超人バッファローマンのハリケーン・ミキサーと、居合斬りボンバーと称されたザ・サムライのラリアット。
 そこに加わった、天地開闢の爆発にも匹敵しうる力。ほとんど無限にも等しい友情パワー。
 それを食らったオークキングの断末魔が響き渡った。永年この異世界の国に君臨してきた魔物の王に、とうとう滅びの時が訪れたのだった。

 そして、使命を果たした転生者たちにも、それが訪れようとしていた。
 バッファローマンとザ・サムライは、いつのまにか暖かい光に包まれていた。
「この光は……もしや、おれたちはこれで元の世界へ帰れるのか?」
 期待と喜びの声を発するバッファローマンを見て、ザ・サムライは笑みを浮かべた。屈託のない、だれもを惹きつけてやまない笑顔だった。
「よかったなあ……これであんた、元の世界で仲間たちにまた会えるんだな」
「ああ、そうだな」
 光を帯びた二人の足は、いつしか大地を離れていた。空へと。高い高い空へと飛翔していった。
 だが、やがてザ・サムライを包む光がひときわ強くなった。
 あまりに光がまばゆすぎて、ザ・サムライの相貌がおぼろにかすみ、視認できなくなるほどであった。バッファローマンは得体のしれない不安に襲われた。
「お、おい。どうした、ザ・サムライよ」
 やがてザ・サムライの全身が薄霧のようにかすれていった。同時にその光はいっそう加速の度合いを強めた。まるでバッファローマンを置き去りにするかのように。
「わるいな、バッファ郎。どうやら俺は、あんたとは帰る世界がちがうらしい」
「なんだと……?」
 なにかを吹っ切ったような、ザ・サムライの低く涼やかな声がした。
「ここでお別れってやつだ。まあ、俺がこの異世界とやらに来たのは、その『お別れ』ってもんが怖くて……たまらなく嫌だったからなんだろう。逃げてきたのさ。舞台の降りどきを見誤っちまった役者ほどみっともねえもんはねえ……まったく情けねえ話さ」
 とつとつと響いてくる静かな言葉。そして、光の向こうにかすかに見えたザ・サムライの満面の笑み。
 バッファローマンはそれにおぼえがあった。かつて仲間たちが、己が死を覚悟して受け入れたとき、例外なくその相貌に浮かべてきた笑みだった。
「だが、もう怖くねえ。これで俺は、俺のままでゆける」
「あきらめるな、ザ・サムライ! 超人は一度や二度ぐらい死んでも、よみがえることが……」
「俺は超人じゃねえ。人間だ。ただの人間の役者だぜ。しかし、どうだバッファ郎。捨てたもんじゃないだろう、役者ってやつも」
「ああ……役者というものは、まったく超人に勝るとも劣らない」
 その言葉に、かつて世界に名を轟かせたこともある誇り高きその男は、さらに笑みを深めた。
「ありがとよ。あんた、やっぱり情に厚い……いい男だな」
「……バカなことを、いうな」
「へっへっ、次は……そうだな、超人の役を演じてみるのも面白いかもな」
 バッファローマンには、もう男の顔が見えなかった。それはまばゆい光のせいなのか、あるいは己がとめどなく流している涙のせいなのか。
 それでもバッファローマンは全身の力をふり絞るようにして、友に別れの言葉を伝えた。
「さらばだ、ザ・サムライ」
「さよならだ、バッファ郎」

 またたくように明滅し、遠ざかる光に向かって超人は叫んだ。声を限りに。
「おい、ザ・サムライよ! 最後におまえの本当の名を教えてくれーっ!」
「ははっ、おい今さらかよ! しょうがねえ、耳の穴かっぽじってよく聞きやがれよ!」
 まるで大きないたずらっ子のような憎めぬ顔の笑みが、バッファローマンの滲む視界の前に大きく浮かんでいた。
「ああ!」
「俺は、俺の名は――」
 男たちは天を流れる二すじの星のようだった。それらはいっときだけ交わり、そしてゆっくりと離れていった。


 その男は死の床にあった。
 身体を動かすことはおろか、口もきけず、目蓋を持ち上げることもできなくなってから、すでに幾日かがすぎていた。

 だれであろうと、眼前に迫る死に相対すれば、困惑し恐れおののくものだ。
 しかし、今にも命の火が尽きかけようとしているその男は、もう困惑してはおらず、微塵の恐れも抱いていなかった。
 その男はただの人間であった。
 ただの人間ではあるが、それ以前に史上最高の役者であった。

 とある冬の日だった。
 親しいものたちが見守る中、彼は静かに吐息するように、最期にある言葉を口にした。
 まわりのだれにもわからないほどに、かすかな笑みを浮かべて。

 男が最期に伝え残したのは、己自身の名だった。
 それはあまりにも広く世に知れ渡った名だったが、その場にいた者たちの耳朶にふれることはなかった。
 だが、とある一人の男の魂にだけは届き、そこへ永遠に刻み込まれた。

閃光のハサウェイ雑感想とダークソウル3

もはや定期生存報告みたいなブログになってますが、まあまあ元気にやっております。
ゴキゲンな日々と言い換えてもよい。

例によって近況なんですが、最近はガンダム映画「閃光のハサウェイ」などみてきました。
この令和の世にまさか閃ハサが映像化されるなんてーッ。
俺らはどれだけ古の呪縛に囚われているんだよ。
人類はいつまでメビウスの輪から抜け出せてないんだよ。
ビィーイヨンーザーターーーーーーイムかよ。

そういうわけでみてきました。
映画館に集う人々全員に「I belong to you」って真顔で言いながらみてきました。
(屈強な外人男性がいた場合は「You belong to me」って言った)

感想。
うわー、ハサウェイがいるーそして動いてるうー。
あまつさえ余計なシャワーシーンまで披露しているうー。
どうみてもモブ顔のハサウェイなのに、一周回って主人公みたく見えるのがすごい。

ギギこざかしすぎやろ。
初対面の人(ケネス)と会話してめちゃくちゃ無礼なことを質問しまくったりした挙げ句に「パターンでしか話せないんだ」っておまえ。
ガンダム世界じゃなかったら殴られてる。
そんなこざかしい女は放っておけば良いのに、ガンダム世界ではこざかし&エキセントリック少女ガールが例外なくモテまくるので無事に三角関係が成立。
やめとけと。

津田健次郎のビームで人が蒸発するところがみたかった。
自分が宿泊しているホテルをあえて津田健次郎に撃たせることで疑いを逸らそうとしつつ、ギギを助けてるうちにうっかりマジで死にかけるハサウェイ。だからその女はやめておけと。
ちょいちょい逆襲のシャアの画が差し挟まれるのがいいですね。ビヨンザタイムですね。

うわあー、ペーネロペーだあー。
相変わらず意味のわからない便利な力で浮遊しているうーー(ミノフスキークラフト)
そして死ぬほどもったいぶってクスィーガンダム出てきたあー。
画面暗くてようわからんけどなんかすごいいーーー。

えっ……あっ……ここで空PAN?……え、終わり?
あ、これ三部作だったのか……知らんかった。
次回もみにいこうっと。

という感じでした。おわり。


ゲームの話ですが今さら「DARK SOULS III」遊んでます。
フロムソフトウェア期待の新作「エルデンリング」も出るし、過去作はきちんと履修しておかねばと思いましてね。

今、この神なるゲームを5年もほっといて寝かしていた己をビヨンザタイムしたい気持ちでいっぱいです。
ほっといたら寝食忘れて遊んでしまいそうなほどハマってますね。

懐かしいな……ミミック……。
このゲームに出てくる宝箱はミミック(正式な名前は”貪欲者”)が化けていることがよくあるのですが、このミミックがキモい上に強いので有名です。
宝箱からやたら長い手足が生えているという斬新なデザインで、ほぼ一撃死のつかみ攻撃(頭からまるかじりされる)とか、旋風脚やサッカーボールキックなどを駆使してくる強敵です。
倒すと例外なくレアアイテムを落とすので見て見ぬ振りをするという選択肢はないんですが、慣れないとすぐ丸かじりされます。
こいつと初めて戦ったあと、プレイヤーは宝箱をみたら必ず攻撃してみるという習慣がもれなく身につきます。
こういう「生き残るための知恵」みたいなのがどんどん自分に蓄積されていくのがこのシリーズの魅力なんですよなー。
まあ、たいていその蓄積でもどうにもならんほどに死にまくりますが……。

なんだよ……今回も狭い足場を渡ってるときに遠くから竜狩りの矢を無限にブチ込まれる最悪ステージあるのかよ……あれはもうやめろとあれほど……。

あと恒例の毒ステージもありますよね。もちろんありますよね。
「この世の悪意を全部置いておいたぜ」ってぐらい嫌がらせがすごい鬼のマップが……。
これまでで一番広大なんじゃねえのってぐらいむちゃくちゃ広い毒沼で、無事に存分に毒にまみれることができました。毒沼で楽しくチャプチャプしてました。
なんなら場所によっては腰まで浸かってた。腰まで毒沼に浸かると当然動きは遅くなりますが、そこを狙って素早くて強い敵が襲ってくるっていうね。
研ぎ澄まされた悪意と殺意のフルコースですよ。
忘れていた……これが……このシリーズにおける至上の”おもてなし”……。
まあ無印のときは一面毒な上に暗いステージだったので、少しはましかもですが。

シリーズを重ねるごとにどんどん豪華になっていく「糞団子」のフレーバーテキスト。
DARK SOULSシリーズの名物とも呼べる珍アイテムですが、何かの比喩とかではなく本当にまんまっていうね……。
説明で「中はまだ瑞々しい」とかそんな描写すんな。
ビジュアルもリアルさがヤバい。
すごい技術力もった大人が本気でうんこをビジュアル化すると、こんなやべえことになるんだ……って思いました。

俺、早くこのゲームをクリアして、心おきなくネタバレ全開の考察記事や動画をみまくるんだ……。
(ボス戦で何度も死ぬたびについ攻略サイトの記事をみて、そのたびにうっかりちょいちょいネタバレを食らったりはしてますが)

最近みた海外ドラマ感想

なんかもう、このブログもなんだろなって感じですが、この世に残された最古のテキストサイトになるまでいい加減に更新していこうと思います。

というかこの令和の世においては、テキストサイトという言葉自体がすでに死語ですが……。

備忘録的に最近みた海外ドラマの話でも書いておきます。
まあ嘘情報とかネタバレが含まれるので注意してくださいよ、とどれだけいるかわからない読者に対して注意を促しておきます。その自意識過剰。それが大人。


●クイーンズ・ギャンビット(Netflix)
クイーンズ・ギャンビット

交通事故によって孤児になってしまった少女ベスが、その身に眠っていた天才的なチェスの才能を開花させると同時に、孤児院で配られていたAKIRAのピーナツみたいな怪しいカプセルをバリバリ噛み砕きながらサクセスしていく熱血青春チェスバトルストーリーと称しても過言ではない。

チェスが題材のドラマなんで、当初はチェスの知識を要求されるのかなと不安でしたが蓋を開けてみるとそんなことはなく、ヒカルの碁とか月下の棋士みたいなノリでまったくルールを知らなくても楽しむことができました。
というかチェスの戦況はベスが勝ち誇ったドヤ顔をしているかどうかですべて判断できるので、この上なくわかりやすかったです。

全7話と短いながらも、毎回やっべえ事件が起こるので最後までダレずにいっきに視聴することができました。

個人的に一番熱かったシーンは、宿敵ボルゴフ(ロシアのすげえ強い人)との対戦前夜に、ベスの穴兄弟一同から激励の電話がかかってくる場面ですね。
観てるおじさんが心配になっちゃうぐらい男をとっかえひっかえしてたんですよ、ベス。
まさかあのただれた男遍歴が、こんなにも熱い展開の伏線だなんて……!!!

他にも孤児院を再訪するとことか、最後のボルゴフ戦とか見どころありすぎてやばかったので、これはがんばって観てよかった。ほんとよかった。

んで、これを教えてくれた中年仲間がまだ誰もクイーンズ・ギャンビットを観ていないので、感想を語り合ったりもできないっていうね。
(中年たちは耳年増なので「あの作品が面白いらしいよ」みたいな情報には敏いが、なんだかんだ理由をつけて実際には視聴しないことが多い)


●コブラ会
コブラ会

往年の名作映画「ベスト・キッド」の続編……しかもオリジナルキャストを再結集した数十年後の話ということで、最初聞いた時は狂気の沙汰としか思えない企画のドラマだったんですが、観てみたら思いのほか面白かったです。
俺も誰かの発表会をぶち壊しに行くときは、黒い道着で「コブラ会!コブラ会!」とリズミカルに連呼しながら乱入して瓦を数枚割りたい。

映画の中で主人公の少年ダニエルに倒されたジョニー(極悪空手道場”コブラ会”のエース)ですが、数十年後めちゃくちゃ落ちぶれまくってました。コブラ会はすでになく、自身は男やもめの日雇い暮らし。一方、ダニエルは車販売会社で成功してすげえ豪邸に住んでるっていう。

そんなどん底から始まるジョニー(とコブラ会)再起の物語……という流れの時点で涙が出そうになるというか、完全にうらぶれた中年たちの心を獲りに来てるわけですが、まあとにかくシーズン1の第1話は最初から最後まで最高でしたので、その勢いでシーズン3まで視聴することができました。

ところどころ映画「ベスト・キッド」のゆかりの土地やら人物が出てくるので、観ておいたほうが楽しめると思うんですが、きちんと説明的な回想シーンが入ったりするので、とくに不都合はなかったです。
ていうかだれが「ベスト・キッド2」で燃える家屋からダニエルが助けた沖縄の少女とか覚えてるんだよ。桁外れにマニアックな同窓会すぎる。

まわりの中年仲間は「シーズン1しか観てない」という臆病マラばかりなので、もうどうしようもないですよね。
仕方がないので「シーズン3ではミヤギさんのクローン体(フルCG)が出てきてネオ・ミヤギ道カラテが台頭する」等の怪情報を流して楽しもうと思います。

あとダニエルの娘サマンサが、やたら可愛い顔して超ビッチというか、作中すべての災いを生み出している魔女的な存在でヤバい。
演じている役者の娘が全米で嫌われて嫌がらせを受けたりしないか心配なレベル。

代わりに、登場する男子たちはみんな可愛い。
どいつもこいつもひとくせふたくせあるけど、みんな愛してる。みんな俺の息子。
だからもうサマンサとは縁を切るんだ。
なんか自宅のプールサイドで乳首浮いた服着とったし。ほんまヤバいであの女は。


●マンダロリアン
マンダロリアン

どうせ観ねえだろうなあとたかをくくっていたんですが、身近でちらほら面白いという噂を聞くので、観念してディズニープラスに課金して視聴してみました。
まだシーズン1の数話だけですが。

とりあえず第1話なんですが完全に猫侍でしたね。
萌えしかねえ。
猫侍について1期2期果ては劇場版2作まで履修した身としては、もうマンダロリアンはどんだけかっこつけても斑目久太郎にしか見えないし、ザ・チャイルドすなわち玉之丞ですよ。

ヨーダの子供版みたいなのが出てくるんですが、あざとさを超えてもはやある種の尊みすら感じる可愛さなので、もう完全にやられました。
俺はマンダロられた。
俺の中の母性と父性が同時に目覚めた。
おれ・命かけて・チャイルド・まもる。

または、いずれ俺がザ・チャイルドになってマンダロリアンにバブる。
それでもいい。
(フォースの使いすぎで昏睡)

中年Apex Legends用語集

更新が久しぶりすぎて死ぬ。
(更新が久しぶりすぎて死にそうなときの挨拶)

最近は世間の情勢的に直接顔を合わせる機会も少なくなったんで、中年たち(ヒライ・ヤマガタ)といっしょにPS4のオンラインゲームでもやろうぜって感じでいろいろ遊んでます。

なんの気なしにはじめた無料バトロワFPS「Apex Legends」にわりかしハマってずーっとパーティを組んでプレイしており、その中で頻繁に使われる用語を解説してみました。
まあ要するに、おそらくこの世で最も必要性の薄い記事ということです。



ホットゾーン
高確率で良い武器が落ちているエリア。毎回ランダムで決まる。
当然ながら多数のチームが降下して激戦区になりやすい。
ものぐさなヒライがジャンプマスターをやると、ほぼ必ず

「ホットなオレたちにふさわしい場所だろ?」

などとうそぶきながらホットゾーンに降下し、たいてい全員即死する。
調子が悪いときは、

「今日は少しクールにいくか」
「そうだな、まだあったまってないしな」

などと日和ってホットゾーンを避けることもある。


ガスおじさん
レジェンド(使えるキャラクター)の一人、コースティックのこと。
ガストラップを置くという玄人好みの陰湿なスキルと、年齢48歳という設定もあいまって、いろいろ衰えている我々中年たちの希望としてこよなく愛されている。
ヒライがガスおじさんでプレイすると、ヘリウムガスでも詰まっているのか風まかせでどこかに飛んでいくことが多いので追従がたいへん。


ミラージュナイツ
レジェンドの一人、ミラージュのこと。
「ミラージュ」ときたらつい「ナイツ」を反射的に付けてしまうという、中年たちが普段まったく脳を使っていないことがわかる言葉。


エリアの一つ「沼沢」のこと。
不人気なのか降下するチームが少なく、開幕激戦区になりやすい場所。
クレバーな立ち回りを信条とするヤマガタが、安定の降下地点としてこよなく愛している。


パーティー会場
謎の浮遊船ミラージュボヤージュのこと。
降りると死ぬ。


出島
水没したスカルタウンのところにあるサルベージのこと。
降りると死ぬ。


「あれっ、ここのサプライボックス、もう開いてね?」
死亡フラグ。
この言葉を誰かが発した直後、たいてい(なぜか)ヒライが突然敵から撃たれて死ぬ。

類義語に
「ここ扉あいてる」
「なんか足音がする」
がある。


「そんなのってないよッ…!」
碇シンジのモノマネ。
とにかく一句一句苦しげに絞り出すように言うのがコツ。
誰が始めたかわからないが、他の中年の非道なプレイを咎める際に用いられる。


「うしろうしろ!!」
初心者だったヤマガタが背後の敵にまったく気づかなかった際にイノウエが叫んだ言葉。



溶ける
敵と撃ち合って一瞬でダウンさせられた場合に用いる言葉。

「うわ、またたく間に溶けたわ……」
「暑いからね」

類義語に「今日の俺めっちゃメルティ」などがある。


雑魚死
開幕早々なにもできず死ぬこと。
中年たちでプレイすると、10戦中9戦ぐらいは雑魚死する。
やっぱ40過ぎてからのFPSは……キツイっすわ……。


白T(白Tシャツ)
レベル1アーマーのこと。
先に高レベルのアーマーを手に入れ、他のメンバーが白Tを装備している場合、

「オイオイ、まだ真っ白なシャツを着ているボウヤがいるな」

などと煽っていくのがセオリー。


青き衣
レベル2アーマーのこと。
この言葉を発すると、必ず誰かが似てないオババのモノマネ(ナウシカのあれ)をやる。


「ヘムロックとヒムロックって似てるよな」
中年たちの間で、もうかれこれ数千回というレベルで交わされた言葉。
もはやほとんど認知症の症状に近い。
ヘムロックはゲームに出てくる武器のこと。


夢戦士
ゲームに出てくる「ウイングマン」という武器の(勝手な)別名。
当てるのが難しい上級者向けの武器であり、この武器を使うものに対し敬意を込めて「夢戦士」という称号で呼び習わすこともある。



クレーバー
ゲーム中最高のダメージを誇るスナイパーライフル。
たまに落下してくる支援物資からしか得られない超貴重な武器だが、中年たちはスナイパーライフルを使いこなせないので、落ちていてもたいてい見て見ぬフリをする。

ちなみに俺は、運良くクレーバーが一発当たっただけでわざわざクリップを切り取って動画にする。




そんなわけで、ここ最近なにげにYoutubeに動画をあげたりしています。
とうとう俺も……話題のユーチューバーになっちまった……!!
(ただの反省や自己満足のためだけの動画なので、エンタメ性は皆無です)

なにやら設定が悪いのかヒライやヤマガタの音声が入っておらず、どれもこれも俺が独り言をぶつぶつ言ってるみたいな寂しい動画になってます。

デスストその2

デス・ストランディング、投げ出さずにプレイしてます。

※ネタバレを遠慮なく含みます



とにかくなんやかやと荷物を運ばされる日々。

「サム、またそんなにアホみたいに荷物背負って……
 腰、痛めるで……」

と、心配になる俺。
まあ、たくさん荷物を運びたい俺が欲張って背負わせてるんですがね。

ダウンロード
アホみたいに荷物を背負うサム


伝説の配達人と言えど、かなりの中年……。
腰痛とは切っても切れぬ縁があるはず。

めちゃくちゃ重そうな荷物を持ち上げるときにヒヤヒヤしたり、いかにも腰をヤリそうな態勢で転びそうになるのを見てドキッとしたり、ひたすらサムの腰を心配しつつ荷物を配達しています。

あと、とにかくこのゲームの人々はとにかくサムを褒めてくれます。
スネークの声でしゃべるダイハードマン(鉄仮面)は、崩壊したアメリカの要職についている人のはずなのに、めちゃくちゃ頻繁にサムに連絡を入れてきます。

なにかやるたびに「ありがとうサム!!」「よくやったサム!!」と、スネークみたいな渋くていい声で承認欲求を満たしてくれる。
配達任務一個一個に対しても、やたら丁寧に説明してくれるし。
「これはピザだから、くれぐれも横にするなよ!」とか、そんなレベルで。
どれだけサムが好きなんだ、というか……ひょっとしてこいつ暇なのか……?

ダイハードマン以外の人々も、とにかく荷物を運ぶと涙ながらに感謝してくれるし「す、すごい! さすがは伝説の配達人やでえー!!」などと大げさに驚いてくれたりして、微妙にサムのやる気をくすぐってきます。
そして気がつけば、今日もアホみたいに荷物を背負って運んでいる……。
やってることは完全にお使いイベントなんですが、それをここまでの偉業・達成感に高める……さすがは小島監督やで……。


そんなこんなで配達に勤しむわけですが、苦労もあります。
この世界ではミュールと呼ばれるオレンジ色のヘンな集団がうろついており、サムが運んでいる荷物を検知するとすごい勢いで襲い掛かってきます。
ミュールはもともとはサムと同じような配達人だったとのことですが、配達依存症なるものに陥り、人の荷物を奪うことが生き甲斐になってしまった悲しい人々だそうです。
……って、普通そんなことあります?

ミュールは電気ヤリみたいなもので武装しており、こちらの打撃攻撃を防御してくるので、発見されて囲まれるとたいていボコボコに小突かれます。
最初のうちは見事なタコ殴りにあい、運んでいた荷物を奪われることもしばしばでした。
これはめちゃめちゃ腹が立ちました。
(のちに「タックル」という技で防御を崩すことができることを知り、少しは戦えるようになりましたが)

それが最近、ボーラガンというウェポンを入手したことですべてが一変しました。
クラッカーヴォレイみたいなやつを打ち出して相手を拘束する非殺傷武器(この世界では人が死ぬと爆発するので)なのですが、不殺と言えど銃(GUN)は銃(GUN)……!

ヤリしかもってねえミュールどもを遠距離から一方的に撃って拘束できます。
あれだけ辛酸をなめさせられていた連中をたやすく駆逐できる快感……!!

十人あまりのミュールを芋虫のように転がしてやったあと、ひとしきりその場で放尿し、ミュールが溜め込んでいた荷物を全部奪い、ミュールの車両に積載して意気揚々と引き上げていくサム。
最高の配達人ライフです。

ちなみに、ときおりサム以外の配達人(ポーター)に出会うことがあるんですが、彼らは多くても2つとか3つとかそれぐらいの荷物を運んでいる程度だったので、それを見てはじめていかにサムの荷物の運びっぷりが異常なのかが実感できました。
だてに伝説の配達人呼ばわりはされてねえってことですね……。

デス・ストランディング遊んでますよ

日々ダイエットとかに明け暮れており、拙者すっかりブログ放置の介となっており申した。


で、とうとう発売された小島監督最新作「デス・ストランディング」…さっそくプレイしてますよ!
MGS5は未プレイだけれども!
関係ねえ! 俺はプレイしたいゲームを遊ぶ!


【以下、忌憚なきゲームのネタバレ情報を含みます】


トレーラー見てもさっぱりゲーム内容がわからねえと噂のデスストですが、発売直前になって運び屋のゲームなんだよってことがわかりました。
なるほど。
たぶん荒廃した都市を復興させるために救援物資とかそういうものを運ぶハートフル宅配人の話なのでしょう。

その程度の予備知識でゲーム開始。
なんか主人公とおぼしき兄ちゃん(サム)が、でけえバイクで峠を超えてツーリングする場面から物語が始まります。

おお、かっこいい……!


そして開始2分で派手に事故ってバイクをオシャカにするサム。


超かっこワリぃ……!!


その後、雨宿りした洞窟でいきなり水樹奈々の声でしゃべるお姉ちゃんが登場。

「あなたが”伝説の配達人”……サム・ポーター・ブリッジズ……」

とか言われる。
さっきすごい勢いで山道でコケてたけどな……伝説の配達人……。

その後、水樹奈々がそのへんに浮いていたカブトムシの幼虫みたいなものを食す。
異様にリアルな皮膚の質感とか顔のモーションでもぐもぐしとる。
ここまでリアルにする必要なくない?ってぐらい。でもこの意味のわからない部分、誰にも頼まれていない部分にやたら力を入れる……それが小島監督スピリッツ……!


いろいろあって、死体を運んでいる途中でなぜだか死体が爆発して付近の街が吹き飛びました。
とんでもない世界観です。

なぜだか一人生き残り、よくわからない施設で目覚めたサム。

もうほっといてくれよ……!
という感じでうじうじしていましたが、なんか大塚明夫の良い声でしゃべる鉄仮面が現れたり、井上喜久子の声でしゃべるおばあちゃんが出てきて「アメリカを救え!!」とか、めちゃくちゃ意識の高いことを言ってきました。

なんだかんだあっておばあちゃん(実はアメリカの大統領だった)が頓死。
もう帰りたいと思っていたサムでしたが、鉄仮面(ダイハードマンというアホな名前でした)によって、できたてほやほやの死体を焼却炉に運ばされるという最高に嫌な仕事を押し付けられました。

チュートリアルで死体運搬とか……!

あとなんか、唯一できるアクションが「放尿」ってなってるんだけど、なにこれ……?
やろうとしたら「今は我慢だ」とか言われましたが。
さすがに死体背負ったまま放尿するというアナーキー行為はできない模様で、ホッとしたようながっかりしたような。

この世界ではなぜか死体を放っておくと核爆弾並みの威力で爆発するので、適切な処置をするために焼却施設へ運ばなければならないのです。
なぜか施設の周囲は山に囲まれていて、数キロは離れてます。
そのへんに車両が転がっているのに、徒歩で死体を運ばされるサム。
完全に罰ゲームです。

死体を担いで歩いていると、サムが、

「なんで俺が……」

とかつぶやくのがリアルでよい。
脈絡もなく鉄仮面ことダイハードマンから無線通信が入り「大統領の意思は受け継がれる…! 我々をつなぐ絆なのだ…!」だのと、やたら意識が高いことを言いたいだけ言って、勝手に無線を切るという一方通行ぶりも最高。

現在、がんばって死体を捨てて戻ってくると、鉄仮面明夫がめちゃくちゃいい声で

「世界をつなぎ、アメリカを救ってくれ! サム!」

と、とてつもなく意識の高いことを言われて、サムは「いやムリムリ」ってなったとこです。

とりあえず自室にこもって鏡の前でヘンな顔したり、シャワーカプセルで小便したり大便したりして遊んでいます。

龍が如く0

拙者、誰が読んでいるかもわからぬブログをいい具合に放置しまくりんぐ侍。

えー、そういうわけでね。
はい、井上です。
などとユーチューバーみたいな入り方をしてみたわけですけれど、まあこの数ヶ月はひたすら減量に励んでおりましたよ。さすがにマイナス23キロほども体重が減り、体脂肪率も10%ばかり下がると、いろいろ変わりますね。
毎日が充実しているというか、ほんとに目が覚めたような思いです。そのあたりのことは、もう10キロばかり痩せて一段落した際にでも書こうと思います。

もうブログとか更新してる場合じゃないですね。
いや、更新しますけども。
いつものようにやくたいもなくゲームの話を書きますけれども。

最近はね、ずーっと前に買って放置していた「龍が如く0~誓いの場所~」を遊び始めましたね。
龍が如く5や6や維新とか漏れなく積んでますが、とりあえず忘れてやりたいものを遊ぶスタイル。
如く0はバブル期の神室町(というか新宿)が舞台なんですが、とにかく神室町が超汚いです。ゴミゴミしている。というか、文字通り路地にゴミが散乱しています。今は見かけない水色のゴミ袋とかがあり、尋常ではない「汚さ」へのこだわりを感じます。

あと、街を彩るネオン。
そのほとんどが「テレクラ」という文字です。
この時代の人間はどれだけテレクラが好きなんだという勢いで、もうどこもかしこもテレクラまみれであり、ビックリマンふうに記すとテラクライストです。あるいは、ちょっとしたテラクレスタなのかもしれません。
若干わかりづらい話になりましたが、要するにそれぐらいテレクラです。

そして桐生さんが若い。
とにかく若い。
若いのに桐生さん。
それだけですでに反則級におもしろい。ずるいですよ。
極道の世界に入ってたかだか2、3年で、まだほんのペーペーのはずなのに、とにかく異様なまでの貫禄を醸し出しています。
街を歩いていたら、番組のプロデューサーがロケをドタキャンして困っているTVスタッフから「代わりにプロデューサーをやってくれませんか!?」という信じがたいオファーを受けるほどのレベル。
(ちなみに撮影を乗り切るためにいろいろプロデューサーっぽい選択肢を選ばされますが、例によって最後は腕力で解決していました)

なおバブルの時代なので、街のチンピラを殴るたびに札束が宙を舞います。なんだこの演出。最高だろ。
そのへんの雑魚チンピラを倒すだけでサクッと10万とか20万という大金が稼げるという、今までのシリーズにおける金銭感覚の常識を根底から覆すシステムになっています。
すげえ!
そのかわり、パワーアップするためにも莫大な金がかかるようになりました。
なんか飛び蹴りの技一つ習得するのに200万円とかかかります。ぜったいにぼったくられてますが、それもまたバブルか……。
スキルツリーの最後の方にある強力な技は習得するのに200億円とか必要なんですが……どうするんだろう、これ……。

四十路からはじめるFSS~ファイブスター物語~(その9)

だいぶ間が空いてしまったけども、近日中に映画「花の詩女 ゴティックメード」を観に行くので読み直し中。
新年早々こんなことしとってよいのか。


11巻

■所感とか

・巻頭のクリスティン・V。
 自分、めっちゃおっぱい出とるで。

・巻頭のMH・サイレン。
 持ってる剣先が平べったくなってるのが好き。
 設定中ちょいちょい星団3大MHという言葉が出てくるが、時代とかによって指すMHがころころ変わるのもFSSのいやらしいところであろう。
 たいていは主力MH的な意味合いで、サイレン、A・トール、破裂の人形のことを言うらしい。
 並べると破裂の人形だけちょっと違和感あるけど…。

・巻頭のデコース・ワイズメル。
 説明文からは及びもつかない、とにかくひどい顔をしている。なんでか剣になすび刺しとる。

・巻頭のバッシュ・ザ・ブラックナイト。
 1巻登場時よりも肩周りとかが肉厚な装甲になっている。
 別冊の資料集によると、魔導大戦に備えるためデコースにより改修されているとのこと。

・巻頭のMHエンゲージSR1。
 何度でも書くが、もう臆面もなくエルガイムである。

・10Pの見開き。
 恒例のいきなりわからないシーンフラッシュバック集。
 「TEAR!! is TEAR」という言葉もまったく意味がわからないが、そういうのにはもう慣れた。

・ファーンドームの星王の心残り=?

・天界っぽいところでスーパーゴッド的な存在になったとおぼしきアマテラス。
 しれっと「ニュータイプの読者にもお解り頂けよう…」などとメタ発言をかましている。
 FSSはSFではなく神話。もう知ってる。

・ハスハントに突入する直前のデプレ、マキシ、剣聖マドラたち(星団暦3075年?)
 45年ほど巻き戻しますと言いつつ、今この時から45年後に44分間の奇蹟を起こすというアマテラス。
 なぜわざわざ45年巻き戻したのかはよくわからない。

・バッハトマの連合に包囲されてハスハ超ピンチ(星団暦3030年)

・黒騎士を駆るデコースくん。
 めちゃくちゃ将としての貫禄が出まくっている。

・アウクソーに「次の主を探せ」と命令するカイエン。
 己の死を予期した男の顔をしておるで…。

・アウクソーと別れ戦地に赴くカイエンにとんでもないカミングアウトをかますミース。
「私、自分の卵巣をアウクソーの体に入れたの!」
「冷凍保存されていたおじさんの精子を受精させたわ」
 これまで断片的に語られてきたカイエンの複雑な生い立ちが数ページに渡ってまとめられている。
 めっちゃわかりやすい。

・カイエン「ミース…お前…狂ってる…マトモじゃ…ねえ…」
 マジで同意。

・一旗上げようとする最弱ランクの騎士、ハイト。
 このあといつ出てくるか知らんけど備忘的に。

・ナカカラを侵攻するメヨーヨ(メヨーヨ大帝)と、ハスハに与するフィルモア(クリスティン・V)の対峙。
 満を持してV・サイレンの出陣。燃えるシーン。

・皇帝大好きなニオたん。

・初陣でテンパるクリスティン・V。

・ボスヤスフォートにあっさり殺されるカイエンとムグミカ王女。
 その血が交わってナイン(フェザードラゴンの幼生)が召喚される。
 血の召喚と書いてマジェスティック・スタンドと読む!

・ナインは、人類がアマテラスたち絶対者に対峙するために呼び出された?
 それはそれで熱い。

・十曜の守護者とは?

・謎の新型MHを駆るナイアス・ブリュンヒルデ。

・前線に躍り出るフィルモア皇帝。

・新たな剣聖マドラ・モイライ。
 さっきの回想(45年後)に出てきた感じとはだいぶ違うけども…。
 と思ってたら、実はスパーク(ピッキング・ハリス)の正体!?
 むしろスパークが第二の人格的なやつだったという衝撃すぎる設定。
 作品中一二を争うほどのパンキッシュであるスパークが「良心」という時点で、マドラのヤバさがうかがい知れる。
「私を止める者は神も悪魔もまっ二つ!」

・そして唐突にはじまる巻末の少女漫画。
 いったいなにがはじまってしまったのか。
 なんじゃこれ…「ちゃあ」って誰よ…と初見の読者全員が思うだろうが、よく見ると巻頭のワスチャ・コーダンテの欄にきちんと正体がわかるよう「今巻初登場」と書いてあった。
 いやらしい!


現時点でいちおう14巻まで一通り読破はしてるんですが、咀嚼するためにもう一度読まないとあかん。yama-gat師から託されたCHRONICLE2005(設定資料集)と、MAMORU MANIA(ヴォイニッチ手稿に並ぶ現代の奇書)も読まねばならん。