ゲーム三昧の日々

2018/02/03

タイトルは「いつか……そうなったらいいよね……ははっ……」という俺のささやかな願望あるいは祈りであり、現実とはなんの関係もありません。今週も休日出勤です。もうお金とかいいから休みをください。今だに取得できていない夏休みをください。むしろお金を払うのでどうか休ませてくださいという心境になっており、気がつけば労働と対価の概念を根本から揺るがす末法の世が訪れているような気がします。

気がつけばもはや1月も終わり、うかうかしているうちに短い2月も終わるのでしょう。そうして、わーもう一年のうちの六分の一が過ぎちまったよおー、という類の焦りを毎年恒例のように感じるのだと思います。どうでもいいですが深夜の駅のホームで吐瀉物を見かけることで「ああ、もう金曜日なのか……」と感じるような生活はもういい加減にやめたい。

そうこうして、平日は数時間ほどしか滞在できない家にいて猫と戯れているとなにもする気がおきなくなり、笑ゥせぇるすまんのナマケモノ回のようなオチになりそうなので無理やりブログを更新してみる次第です。

今、すさまじい売れ行きで話題のモンスターハンターワールドを遊んでいます。
遠い昔……PS2時代にちょっとだけプレイしたことがある程度なので、右も左もわからぬ完全なる初心者ですが……かなり楽しめています。キノコ集めるのに50分まるまる費やしたりしてますが。(時間が経過すると同じ場所で採取できることに気づかなかった)
フロムゲーに慣れすぎたせいか攻撃しようとしてうっかりR1ボタンを押しがちです。ポーチの中身をいっぱいにしたまま次のクエストに進んでしまい素材を拾えず悲しい思いをしたり、罠にかかったモンスターに捕獲玉を食らわそうとして道具を選択している間に逃げられたりと、優雅なかけだしハンターライフを送っています。

ただ、うっかりキャラメイクで容姿をものすごい老人にしてしまったので、なんというか……微妙にいたたまれない感があります。受付嬢とかに元気よく「相棒!」とか呼ばれるとモヤっとしますし、調査団リーダー(若いイケメン)と会話するときの「デキる年下の上司に使われている」感は半端ないです。物語の都合上、たいした実績もないのになぜか同期のハンターを代表して調査団の重要な会議の場に呼ばれがちなのですが、どうしても「年長者なので気を使われているのか……?」という疑念をおぼえてしまうありさま。
そんなしがらみも、フィールドに出て狩りとなれば一切関係ありません。オンラインプレイで狩猟クエストを達成したときの、ゆきずりのハンターたちが黙々とボスの死骸から素材を剥ぎ取っている、あの殺伐とした時間がたまらなく好きです。

新年の雑記

2018/01/27

残業と休日出勤にまみれて生きているうちにいつの間にか年が明け、1月も終わろうとしていました。
ブログも放置しがちですんません。
「すんません」などと謝ってみても、どれだけの人がこれを読んでいるのかわからんのに自意識過剰すぎるんじゃねえか、とんだ一人上手じゃあねえのか……などとそういうことを考えはじめるといろいろ虚無い結論になるのでもう考えません。思考停止。これは健全な思考停止。ここはインターネット……世界中の人間が俺の発信したブログを読むかもしれない……何十億人もの読者が生まれる可能性がなくもない……そう、ここはインターネット……。
だから、その……あれだ。あれですよ。
あけましておめでとうございます。

思い起こせば昨年末は年末テレビ番組とかを一切無視して、ニンテンドースイッチのバイオハザードリベレーションズのレイドモードを遊んでいました。で、気がつけばそのまま年を越しておりました。
ひたすらに敵を倒して金を稼ぎ、強力な武器やパーツを手に入れてまた強い敵を求めるという、漫画版デビルマンにおいて不動明がいうところの「あしゅら地獄」のようなモードです。
こことかここの記事を読んで「ほう、おもしろそうじゃあないか」と思って遊んでみたのですが、たしかにおもしろいです。
やたら難易度が高くなってきたので、気まぐれにインターネットでCOOP(協力プレイ)したりしてますが、必要以上のコミュニケーションは不要なので気軽に遊べます。
弾薬拾おうとしてロッカー空けたらバグで操作不可になり、相方が一人でステージクリアするまでずっと動けなかったり、あと一歩でステージクリアできるというところで敵の即死攻撃を喰らって台無しになってしまったりと、そういう気まずい一幕はありましたが、それでもつづけて遊んでくれると「おまえ……いいやつだな……」と情にほだされたりします。ここ数ヶ月の仕事地獄で心が潤いを求めているのでしょう。なんかフレンドも増えたりしました。


なんかしつこく忙しい人アピールしてるみたいで申し訳ないですが……しかし毎月300時間近く働いていると、視力が半減して目が霞んできたり、無意識に足元がふらついたりと、あきらかに体調に異常をきたしているのが実感できますね。
会社の職位の制度上、残業手当も休日出勤手当てもなく、いろんな方面から精神的に追い込まる日々がつづいた中でかろうじて潰れなかったのは、俺のいい加減な性格もあるとは思いますが、たぶん猫の存在が大きいです。
日付けが変わった頃にようやく家に帰り、にゃーにゃー言いながら足元で頭を擦り付けてくる毛玉生物に対し、
「ただいま」
にゃーにゃー。
「今日も疲れたよ」
にゃーにゃー。
「おまえなにしてたの?」
にゃーにゃー。
「ずっと寝てたの?」
にゃーにゃーにゃー。
「そうかー」
というようなやり取りを飽きもせずあほみたく繰り返していたのですが、もはや完全にアニマルセラピーであり、それによって俺がどれだけ癒され、救われたかわかりません。

忙しすぎていまだに今年度の夏期休暇を取得できておらず、代休すら消化できていないのですが、長い休みが取れたら、猫と一日中たわむれ、シーバなどの高いおやつを与える猫感謝デーを催したいものです。

雑記

2017/12/19

これは雑記ですか?
雑記です。
もう気の利いたタイトルをひねり出す余裕もないので、今回みたいな「ちょっとブログを放置しすぎたのでちょこっとスナック感覚で更新しとくかー」的な場合は、なにひとつ頭を使わずにただ「雑記」というタイトルにしようと思います。

雑記と殺気は似ていますが、似て非なるもの……。

格言めいたことを意味ありげに書いて少しでもはったりをかましていこうといういつものスタイルですが、気がつけばもう年末。
皆さんお元気ですか?
俺は四十路とは思えぬ過重労働を課されており、紛うことなき死の行進曲を全身の毛穴で体現中であり、ファミコンのダウンタウン熱血行進曲だったら水中で鉄パイプを振るとなぜか速度がやたらあがる……あの感じに近い。
いや、近くないです。
文化の日に働くのはもちろん、己の勤労に感謝しまくりながら勤労感謝の日に働くのもあたりまえ、今週末も職場で夜に一人、もりもりと山下達郎を聴くことになりそうです。
街の遠いクリスマス・トゥリーを眺めながら少し高いユンケルとかを飲む。あとファミチキ食う。

そういう平坦というか……心電図的にフラットライン的な日々をすごしている中で、帰ると猫がいるというのはでかいですね。
とにかく愛想はない。
抱っこすると腹を蹴りつけ全力で逃走。
可愛く膝の上に乗ることもない。
それどころか夜中の三時とかに奇声を発しながら大運動会をバトルアスリーテスし、俺のなけなしの睡眠時間を効率的に削減してくる。
それでも、この毛玉生物にどれだけ救われているかわかりません。
毎日16時間ばかり留守にしてから帰宅すると、5分ぐらいあほみたくまとわりついてきて、不意にそっけなくなる不思議な習性をもつツンデレにゃんこです。

もうほんと毎日がつらくて、目が霞んで前が見えなくなったり、ぼーっとしてうっかり赤信号の車道に踏み出しかけたりと綱渡りで生きてる感じですが、とりあえず猫の話をしておけば間違いない。
このまま長らく更新が途絶えたら、井上は宇宙的勝利を果たしてアルファケンタウリ星系へ脱出したとお考えください。

それと年末のコミケでちょろっとした短編集出します。
宣伝とかまったくできてないですが……。
スーパーログ氏に描いてもらったイラストどおり、今回は暗い話を書きましたよ。
https://twitter.com/randambutter/status/937458486673211392

Scythe 大鎌戦役

2017/10/09

最近、ボードゲーム「Scythe 大鎌戦役」をよく遊んでいるので感想とかいろいろ。
こんな感じのゲームです。

大鎌戦役 
ボードはもちろん各種トークンとかフィギュアとか、ものすごく大量かつ豪華なゲームなので、毎回持ってくる田中天さんが超たいへん。なお画像は田中天さんのtwitterから勝手にパクっています。場所は俺ん家だし、いいよね……。
ちなみに遊んだ主なメンツは、田中天、ヒライ、yama-gat、V林田、スズキトモユ(敬称略)と俺。
詳しいルール含めたゲーム紹介はよそのサイトに任せるとして、書きたいことだけ書きます。


ゲームのコンポーネントに比してルールブックも相応に分厚くて、最初のうちはルールを勘違いしつつ試行錯誤しながら遊んでいましたが、ボードの構成がよくできているので、慣れていくにつれて間違いも少なくなりました。
以下、間違って遊んでいた主なルール。全部やらかすとほとんど別ゲームになりますね。

●労働者(ワーカー)で戦闘を行っていた
(戦闘を行えるのはキャラクターとメックだけ)

●遭遇イベントをワーカーやメックで起こしていた
(遭遇イベントを起こせるのはキャラクターだけ)

●ワーカーをメック同様に渡河させていた
(メック配備時の渡河能力が適用されるのはキャラクターとメックだけ)

●ポラニアの固有能力「友愛」を戦闘発生時以外も適用していた
(戦闘が発生させずにワーカーを退避させた場合は民心が減る)

●徴兵の継続ボーナスは、両隣がアクションしたときだけだと勘違いしていた
(両隣に加えて自分自身がアクションを行ってももらえる)

●遭遇で得た資源やメックを適当な場所に配置していた
(本当は遭遇トークンのあるマスに配置する)

遊んだあとにルールブックを読み返すと「あっ、あのルール間違って処理してた!」とたいてい新たな発見があります。
そういう意味でも奥が深く、おもしろいゲームです。慣れてないと1ゲーム4時間とかかかりますが、最近は2~3時間ぐらいに収まってきました。

何度か遊んで1位で勝ったり惜しくも負けたりしており、以下、個人的な考察的なもの。

●基本方針
最初のうちは軽視してましたが、どうやらこのゲームで最も重要なのは民心だということがさすがに分かってきました。民心上げを怠るとすげえ点差で負けるので。
なので、まず自分のボードを見て民心が上がるアクションを最優先で確認。それで対応する建物(モニュメント)なり徴兵ボーナスなりを真っ先に開放したい。
でも自国の地形によっては木材がなかったり食糧がなかったりするので、その場合は交易に頼るしかない。このゲームの肝の一つは「どれだけ下段アクションをたくさん行えるか」だと思うので、交易とか移動とか、よく使う上段アクションの下段がなにになっているかはかなり重要。

<上段アクション>
●生産
ワーカー全出しで生産しまくりは超おいしいと思っていたけど、民心下がるのであまりやらないほうがよさげ。ワーカー全出ししたあとは領地を広げるほうが得策な気がする。みんな民心を下げたくないので、そう容易には排除されない。

●軍備
戦争ゲームなのに戦闘が起きる回数が非常に少ないこのゲーム。それだけに戦闘には絶対に勝ちたい。勝つと星ももらえるし。ので、軍備は極力上げておきたい。モニュメントを建築して、ついでに民心も上げるのが理想。

<下段アクション>
●改善
KAIZENまじ重要ーDANZEN全部やるべきー、と思っていたけど2回もやれば十分な気がしてきた。移動者数増やすのと、生産数増やすやつ。改善のたびにお金もらえるボードの場合はたくさん実行。

●徴兵
たいていのプレイヤーはメックを全出しするので、最優先でそれに対応した補充兵ボーナスを開放。あと民心上がるやつ。早めに全部開放して、両隣の人と自分が下段アクションするたびにオイシイ思いをしたい。初期領土に食糧がない場合は、改善で徴兵コストを下げつつ、交易でがんばる。

●配備
みんなメックが大好きなので、最初にメックを出した人は一目置かれがち。開放する能力は渡河がセオリー。

●建築
悩ましいけど、たぶん軍備するたび民心が上がるモニュメント建築が最優先。木材に余裕があれば、次に風車か兵器庫。交易多めなら兵器庫。

いろいろ書いたけど、国やボードによって戦略を変える必要があるので思ったようにはいきません。なんだこれ無限に遊べるぞ。MUGENは仲間を裏切らねえぞ。

●遭遇について
諸説ありそうだけど、俺は資源もらえるやつを選択しがち。民心下がる場合は悩ましい……。
遭遇トークン取るためだけに移動するのはどう考えてもメリットと釣り合わない気がするので、ついでに取れればいいや程度に考えたい。

●ファクトリーについて
俺は一度もファクトリーに一番乗りしたことないので、いまいちメリットを享受できてないけども、民心が上がるファクトリーカードは強そう。ファクトリーの領土ボーナスもデカいので、一番乗りしたら罠を設置したりワーカーを置いたりして嫌がらせしつつ最後まで確保したい。

●国について
国の固有能力がいろいろあって、どの国が最強みたいなことはなさそう。
ただ、国民(ワーカー)が寒中水泳を身に着けているノルディックはちょっと弱くね?という意見がちらほら。俺はいまだにノルディックやったことないんだけど、ワーカーの寒中水泳を活かすには、メックを配備をあきらめてワーカーだけでいち早く遠くの領地を支配する……とかだろか。民心惜しさでそうそうワーカーが蹴散らされないと期待して。
同じアクションを連続で選択できるロスヴィエトは、移動しまくってファクトリー取りに行きやすそうだけど、それに見合うかどうか見極めが難しそう。
ポラニアの「遭遇イベントを2つ選択」もかなり強そうだけども、俺がポラニアで勝ったときは遭遇1回しか取れなかったので、そこまで固執する必要もない気がする。

個人的にはクリミアの「手番中に1回、戦闘カードを好きな資源に交換できる」が好きだ。これで資源を効率的に集めればぜったい勝てる!……と思ったらメックを一体も配備していないVに敗北したりしたのでこのゲームは本当に奥が深い。

●ノーメック戦略について
あとから考えてもかなり芸術的な勝利でございました。銀英伝でいうとイゼルローン無血奪取レベルの偉業。
基本的には、まずモニュメントと徴兵ボーナスによって民心を最大レベルまで上げ、同時に軍事力も最大にする。キャラクターでファクトリーに一番乗りし、それに絡んだ目標を達成しつつ、民心上げアクション入りのファクトリーカードを入手。徴兵とかワーカー全出しを完了しつつ、最後は単騎でうろうろしていた勢力を狙い撃ちして軍事力を全部突っ込み、戦闘勝利の星で終了。ゲーム終了があまりに早くて他のプレイヤーは星2つとか3つとかそんな状態だったので、2位以下と大差がついた。
最後の戦闘勝利さえ阻止できればもう少しゲームが伸びたと思うけど、たぶんすぐ改善完了か民心MAXを達成されてVの勝利は変わらなかっただろうなーと。
どうすればよかったのかとずっと考えているが、メックが少ないことにつけ込んで領土をぐいぐい侵犯していくしかなかったかな。でもワーカーを蹴散らすと民心が減るので、まわりはそれを恐れて結果的にVのノーメック勝利を許してしまった。
今後似たようなケース(メック0体で民心を超上げまくっている国が出現)があったら、両隣の国が団結して、民心ダウン覚悟で領土を削るしかないのかなー。するとたぶん他国に漁夫の利をかっさらわれるので、本当に悩ましい。

つらつら書きましたが、とにかく次になにをするのか悩むのが難しくも楽しく、毎回違った戦略を求められるので飽きがこないという素敵ゲームです。かなり重たいゲームだけれども、そこまで重すぎないのがいいです。慣れたら待ち時間少なめでサクサク進むし。
日本語版が出たら自分でも買おうかなと本気で検討しております。

俺たちはきっと灰にあこがれていた

2017/08/01

「ウィザードリィの深淵」を読んだ。

読んだ……というか、今、少しずつ読んでいる途中だ。もったいなくて、高いお酒をちびちびとやるように、毎日、少しずつページをめくっている。
だって冒頭から須田PINさんのロングインタビューとかが載っているのだ。
「誰それ?」などと思ったやつは帰れ。
いや、うそうそ。
帰らずに、もう少しおじさんの昔話につきあってほしい。

俺が最初に触れたウィザードリィは、ゲームボーイ版の外伝Iだった。
副題は「女王の受難」
どんな話だったかはおぼえていない。副題から察するに女王がたいへんな目に遭う……すなわちクイーンズブレイド的なあれだったかもしれない。いや、たぶんそうじゃないと思う。
ウィズは(俺はさしたるウィザードリィフリークではないと自認しているが、ここではいかにも通っぽく”ウィズ”と略していく)ゲームの中でたいしてストーリーを語らないので、おぼえてないのもしかたがない。
たしか中学生のころ、友人のワカバヤシくんに借りてこのゲームをプレイした。
今思えば、当時のウィズはセーブデータが1つしか持てなかったが、普通に最初の最初からプレイした記憶があるので、ワカバヤシくんは俺にソフトを貸すにあたってわざわざデータを初期化してくれたのかもしれない。俺に最大限ゲームを楽しませるため、自らが手塩にかけて育てたキャラクターをすべて消去したのかもしれない。
何十年も経過してから、古い友の密かな、そして深い思いやりに気づく。四十路を前にすると、振り返って後悔や感謝をするにはあまりに遠く、色あせすぎているようなことばかりだ。

話がそれたが、外伝Iの話だ。
この外伝Iはシリーズではじめてオートマッピングが搭載された作品であった。旧来のファンからは批判があったようだが、ウィズ入門作としてはこの上ない適切な配慮であった。外伝Iでウィズの面白さに目覚めた俺は、その後、ファミコン版のウィザードリィIを買い、方眼紙にマッピングする楽しさにも目覚めていったのだが、もし最初にオートマッピングありのウィズで遊んでいなければくじけていたかもしれない。
ファミコン版ウィズIでは、いちおうワードナを打倒し、村正(最強武器)を入手するぐらいまでは遊んだ。
キャラクターのレベルを1000にするだとか、そういう気違いじみたやりこみはしていない。(ゲームをクリアできるのはレベル13ぐらいなので、これはもう本当に気が狂ったレベルのやりこみと言える)

しかし、そこまでのやりこみを産んだ、ウィズの魅力とはなんだろう。
ハック&スラッシュ要素と、それが苦にならない軽快な動作。
探索と戦闘のおもしろさ。
秀麗なグラフィック。
転職などによる自由な育成。
それはもう数え切れないほどいろいろあるが、俺が特に惹きつけられたのは「灰」のシステムだ。
ウィズでは、キャラクターが死亡すると、寺院で金を払い蘇生を試みることになる。
運良かった場合はそれで無事に復活できるが、そうでない場合はキャラのステータスが「死亡(DEAD)」から「灰(ASHED)」に変化する。
灰の状態でもう一度蘇生を行い、もし失敗した場合、そのキャラクターは永遠に失われる。いわゆる消失――「ロスト」――である。

これは衝撃的だった。
当時の代表的なRPG、たとえばドラゴンクエストやファイナルファンタジーなどでは、キャラクターが何度死んでも金さえ払えばノーリスクで確実に生き返る。ゲームにおける死は、せいぜいが少しばかり深い眠りのようなもの。それが常識だった。
しかしウィズにおいて迷宮での死は、ともすれば「灰」に繋がり、「消滅」に繋がる。
どれだけレベルを上げてもニンジャの一撃で首を刎ねられることもある。
ウィズのキャラクターは、俺たち生身の人間同様の「逃れ得ぬ死」を与えられていたのだ。

ファミコン版、ゲームボーイ版ウィズのキャラクターには顔グラフィックの一つもなく、なにかセリフをしゃべることもない。
あるのは名前、性別、種族、職業、その他各種パラメータの羅列。
それでも俺たちは彼らに愛着を持ち、執着し、そこから無数の物語を見出した。
ときに灰となり、ときには消滅する彼らをこの上なく愛した。むしろ灰になり、消滅する可能性のある彼らだからこそ愛したのだろう。もしかしたら尊敬すらしていたのかもしれない。
そんな俺たちの心を心地よく震わせたのが、元祖(たぶん)ウィズ小説であるベニー松山先生の「隣り合わせの灰と青春」である。もうタイトルだけで既に傑作であることがわかる。
ちなみに続編の「風よ。龍に届いているか」も、大好きな作品である。タイトルも内容も傑作であり、今はこれらの傑作がkindleで手軽に読めるので未読の人はぜひ読むといい。

ウィズの世界ではどんな強いキャラであろうと死んで灰になる可能性があるが、実際に死ぬのはたいてい弱いキャラである。
新米同然の低レベルなキャラクターや、そこそこレベルが高くても育成をしくじって妙に虚弱なキャラクター。
そういう弱いやつから死んでいく。
弱いやつが灰になる。
消滅したキャラクターはどこかのちっぽけな墓石の下に埋葬され、二度と顧みられることはない。
ウィズの原作者が火葬を意識して「灰」のシステムをつくったのかどうかはわからないが、やがて死に、焼かれて灰になるさだめの俺たちは、そんな彼らに自らのなにかを重ねずにはいられない。
悪の魔術師や竜を倒すこともなく、伝説の武具を手に入れることもなく、英雄や王になれずにただ朽ち果て、消えていく冒険者たち。誰からも物語られず、記憶にも留まることのできない彼ら。
その死を幾度か看取ってきたはずの俺も、もう思い出せない。
レベル10かそこらのサムライが死んで、灰になって、消滅してすごくつらかったことはおぼえているが、その名前はどうしても思い出せない。性別も思い出せない。本当にサムライだったのかどうかも怪しいものだ。

それでも感じるこの気持ちは、おそらく哀悼などと呼ばれるものだ。
心から悲しむにはもうひどく遠くて、色あせすぎてはいるけれど。

今年みた映画のこと

2017/06/09

もう6月。
今年もはや半分が過ぎようとしている今日このごろですが……こんなブログの更新を読んでいるような輩はみんな、俺と同様に有意義な日々など送っていないはずと固く信じています。

なんか書くことねーかなーと考えて、あたりさわりなく今年みてきた映画の話でも書くかと思って視聴履歴を確認したら、わりとみてました。そんなに映画好きなつもりはないけれど、月に1回は映画館に行ってる。
映画館の座席に座って、本編がはじまるまでの冗長な宣伝とかを眺めていると、なぜかわけもなく「俺、こんなとこでのんびり映画なんかみててええんか……?」という理由のない焦燥にかられます。

以下、みた映画の所感。
ネタバレありまくるので注意してください。

ローグ・ワン スター・ウォーズ・ストーリー
元旦にみた今年一発目の映画。
元旦もファーストデイの割引になるんです。

超兵器デススターの設計図を入手した英雄たちの知られざる物語です。
とりあえずデススターの設計図のデータは、閲覧するのが命がけすぎる。なんかおそろしくメンテナンス性が低い巨大な構造物の超高所にディスクが入っており、そこに登ったりして必死に取り出してました。
データを送る際にも、なぜか建築物の頂上の、さらに超危険なキャットウォークみたいな出っ張りの先端に通信用コンソールがあり、やはり命がけなのでした。
昨今、やれクラウド化だの、どこでも手軽にデータにアクセスだのと便利すぎて生ぬるい世の中になってきていますが、スターウォーズの世界はそんな風潮に警鐘を鳴らしているのだと思います。だから情報漏えいとかが起きるんだと。やるんならこれぐらいやれよと。鉄壁のセキュリティです。
まあ、けっきょくは盗み出されるんですが。

あとこの映画はドニー・イェンの活躍がすべてを持っていきすぎており、俺の座席の横にいた老人も「ドニーがあと10人いたら帝国は敗北していただろう」とつぶやいていました。
盲目なのに単独でトルーパーの集団を全滅させたり、あまつさえ弓でTIEファイターを撃墜したりと、単独での戦闘力は完全にジェダイを超越してました。
それとヒロインの父親がマッツ・ミケルセンでしたが、同時期にマッツが主役の海外ドラマ「ハンニバル」をみていたので、おもむろに人肉でやたら凝った料理を作りはじめないかとはらはらしていました。

■虐殺器官
怒涛のごとく小説がアニメ化されたProject Itohの大トリ的なアレです。
たとえ任務中であろうと内心やくたいもないことを考えていた描写がなくなったおかげでクラヴィスさんの童貞感が薄れ、それどころかイケメンと化して櫻井孝宏の声までも手に入れたジョン・ポールといちゃいちゃしかねない雰囲気をまとっていました。ていうか終盤はあきらかにデキてました。
そしてウィリアムズさんは映像で見るとほんとに理不尽な目に遭っていると思った。

■劇場版ソードアート・オンライン
TVアニメも最高でしたが、劇場版はよりすごくなっておりました。
入浴シーンとかベッドとかにおけるアスナのおっぱいマジすげえ。
スクリーンに広がるその光景に気圧され、おっぱいの圧で窒息するかと思いました。小さく「おわっ」という声が漏れました。
あと最近ではすっかりお馴染みとなったバーチャルアイドルが出ており、ハイクオリティなライブシーンを披露していました。
それを眺めつつ、シャロン・アップルはなんと早すぎた存在だったのかと、遠い昔に思いを馳せてしまいました。
やがて公開されるであろうアリシゼーション編も超期待しています。

■ラ・ラ・ランド
オープニングが本当にすごくて、楽しくてテンションが高まります。
思わずそれで満足して帰ってしまう人もいそうです。
ラストもいい雰囲気で切なく終わったのですが、どうしても「いやいや、おまえらどうしてあのとき元の鞘に収まらなかったんじゃい」と思わざるをえませんでした。ていうかエマ・ストーンは以前付き合ってた金持ちと結婚しており、いやいやそっちで元鞘になっちゃうのかよと。

■レゴバットマン ザ・ムービー
超いい話でした。いろいろと面倒なバットマンやジョーカーの性格や関係性を恐ろしく分かりやすく的確にデフォルメしたのが見事。ちなみに、これをみた人はだれもが「ロビンの吹き替えの小島よしお臭が気になった」と言っておりましたが、テレビをろくにみない俺は小島よしおとやらを存じ上げなかったので「こういう芸風の子供なんだな」と、とくに気になりませんでした。古今あまり例のない情弱の勝利と言えましょう。

■イップマン 継承
「木人樁が、泣いている――」
シリーズ3作目にして最高傑作でした。これまでの1作目2作目もよかったんですが、それまでの蓄積がある分、今回はどうしても号泣せざるをえない。
竹の棒をもったイップ師父は、方天画戟を手にした呂布なみにヤバいということと、マイク・タイソンが超強いということも強く伝わってくる映画でした。

■メッセージ
つい最近みた映画。内容をすっかり忘れていたテッド・チャンの原作小説を読んでから臨みました。
大まかな展開から細かな部分までいろいろと違いがあり「ふふーん、映画ではあそこをこんなふうに料理したんだ……なるほどね」などと通ぶったことを内心考えながら視聴してました。
原作では地球になぜやってきたのかよくわからなかった異星人ですが、映画では壮大な理由があったり、娘の名前が「Hannah」(始まりと終わりが同じ)だったりするのがよかったです。

あと娘の死因が山岳事故から不治の病に変わっていましたが、これもうまいことやったなと。
原作では、未来の出来事が克明に記された「三世の書」なるものを引き合いに出して、未来を知り得た者の行動について「未来を知った者は、その通りに行動しなければという義務感をおぼえる」というような感じで説明されてました。だから娘の山岳事故死という未来も甘んじて受け入れると。
映画の場合、往年の名作美少女ゲーム「YU-NO」のA.D.M.Sよろしく「未来の情報をゲットして現在直面している困難を切り抜ける(ようにしか見えない)」という終盤の展開の都合上、娘の死因が山岳事故だと「じゃあなんでその未来を変えねーんだよ」という総ツッコミを受けることになりかねません。
そのあたりをぼやかすため、娘の死因はどうやっても変えられない未来ということにして感動を与えつつ、どう見ても未来改変だけどハラハラドキドキさせつつ世界のピンチをきっちり救うというダイナミックさも兼ね備えた、いいとこ取りのシナリオでした。
そして異星人が乗ってきた宇宙船の形状は思った以上にばかうけでした。


映画評論家よろしくたくさん映画のことを書いたので、もうしばらくは書きません。
とは言え、年末にだれもが頼まれもしないのにいきなりつぶやきはじめることで有名な「今年の映画ベスト10」みたいなのを今年こそはぜひ書きたいのですが……。
とりあえずNetflixとかAmazonビデオで、往年の名作映画をきちんとみたいと思います。


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