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うぇい民

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夢の中で俺はうぇい民だった。うぇい民というのは、よくわからないがとにかく「うぇい」という類の、返事のようにも挨拶のようにも感嘆や悲嘆を示すようにも聞こえる言葉しか発さない人間のことである。仕事を頼まれれば「うぇーい」と快諾し、とんでもないミスの報告を聞いても「うぇーい」と許した。酒の場ではとにかく「うぇいうぇい」と言えば場が盛り上がり、やたらと重宝された。女性の話にはすべて「うぇい……」と答えるだけ...

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うそつきの猫

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毎年、ぼくは四月になるとアオタンのことを思い出す。正確には四月のはじまりの日――エイプリルフールになると、アオタンが「うそだよ」などと言いながらひょっこり帰ってくるんじゃないかと思ってしまう。アオタンが死んでもう何年も経つけれど、きっとこれからもずっとそうなのだろう。*アオタンというのは、ぼくの家で飼っていた猫の名前で、右目のまわりの大きなぶち模様が、まるで喧嘩で殴られてできた痣のように見えることか...

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俺のフレンズが異世界でとってもアニマルすぎる

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※この物語はフィクションです。 実在する人物や動物とはあまり関係ありません。※流行に乗るため「フレンズ」などという語句をタイトルに入れましたが、 けものフレンズの二次創作ではありません。すいません。* どこが上か下かもわからない、あやふやな空間に俺は漂っていた。 たぶんこれは夢なのだ。 昨晩、俺はいつものように仕事で疲れ果て、家に帰るなりレコーダーに溜まる一方のアニメを二話ほど消化したあと、泥のよう...

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怖がりの先輩の話

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 小学校に通いはじめる少し前。街に点在する桜の木々がその存在感を増しはじめる季節。いつも遊んでいる公園に見知らぬ男の子がいる。彼は錆びた鉄骨で組み上げられたジャングルジムの頂上に登り、高らかに叫んでいる。「ぼくには怖いものなんか一つもないぞ!」 本当かな、と思った私は男の子をジャングルジムから引きずり下ろし、その頭をグーで思いきり殴る。すぐに取っ組み合いの喧嘩になる。互いに叩き合い、服を掴んで突き...

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モーニングスター男子

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ある夜のことだ。ぼろ雑巾のように働き、泥のように眠っている俺の枕元に武士が座っていた。その男は武士というか、どちらかと言うと落ち武者という感じだった。ざんばらの頭はちりぢりにほつれ、肩には折れた矢が突き立っていて、いっそう落ち武者感に拍車をかけていた。仰天して声も出ない俺に対し、その落ち武者は大きく肩を落としつつも正座の姿勢で、フォントにすると淡古印っぽい低くしわがれた声音でおもむろに語りはじめた...

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神よ、黒川を護り給え

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 初めて会ったころの黒川さんは、ひたすら火炎瓶を製造していた。 当時は火炎瓶をつくる技能に長けた人を重宝がる奇特な人々がなぜか存在して、彼はそんなよくわからないニーズに真っ向から応えることで生計を立てていた。 黒川さんは火炎瓶をつくるのが早かった。そして彼の火炎瓶はよく燃えた。何か特殊なものを混ぜているのか、青みがかった炎を発しながら、消化剤を散布しない限り一昼夜に渡って燃え続けた。 俺は火炎瓶を...

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ドット・イン・ザ・ライフ

■ロードランナーわけあって俺はゲーム「ロードランナー」をやっている。やっている、といってもコントローラを手にしてゲームをプレイしているわけではない。実際に俺自身がランナー君となり、テレビ画面の中に散らばる金塊をひたすら集め、手にしたレーザーガンで地面に穴を掘って警備ロボットを埋めたりしている。「どうしてこのレーザーガンで直接敵を撃たないんだ?」そんな疑問は、俺自身が実際にロードランナーになってみて...

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繰り返し、やがて遠ざかる女の子と俺の生活習慣

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* 俺が一ノ瀬始(いちのせ はじめ)を好きになったきっかけは、実を言うとあまりよくおぼえていない。 騒々しい教室の片隅で、牛乳瓶の底のような眼鏡を通して、いつも一ノ瀬はどこか遠くを見つめていた。 こいつ、なにを考えているんだろう。 夏。退屈な授業中。たしか現国だったと思う。 初老の先生が朗読する古い物語の一節をBGMにして、セミロングの長さに揃えられた彼女の髪と、そこからのぞく形のいい耳と、細いう...

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狩りせよ乙女

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*「あのね文江ちゃん、お願いがあるの」 その話を切り出したのり子の表情は、たいていほわほわーっとしている彼女にしては珍しく、妙に引き締まっていたのをおぼえている。「あたしね、ノモンハンをおぼえたいの!」 なにをいっているのかわからねーと思うだろうが、もちろん私にもわけがわからなかった。 自転車通学の女子生徒が、徒歩の私たちを軽快に追い抜いていく。 小さなベルの音をのせた放課後の風が、私たちのスカー...

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戦場のラブプラス

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■1■ 天にまします神様が俺たち人間どもに与えてくだすったベスト・オブ・くそったれな贈り物がなにか知っているか? そいつは想像力だ。 こんなもの、俺は欲しくなんか無かった。 七戦闘単位日ほど前、俺たちはハリ湖の作戦でヴーアミ人のキャンプを襲撃した。 武装ゲリラの巣窟、というのが事前に小隊へ与えられた情報のすべてで、作戦目標はKTA。すなわち「キル・ゼム・オール――とにかくみんなぶち殺せ」 俺はぶち殺し...

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恋人はエンライテンド

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 ぼくの住んでいる街の駅前広場には小さな時計台があって、それはもちろんポータルとして登録されている。 学校の行き帰りにスキャナー画面を起動して、ポータルレベル8の時計台がひときわ強い青い光を放ち、周囲のポータルと密接にリンクされ、まるで蜘蛛の巣のように複雑な幾何学模様を描き出していることを確認する。 スマートフォンの小さな画面を通して見える青い世界に、名状しがたい安堵をおぼえる。* 実際の地図と位...

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艦これSS「上弦の月をのぞむ空母」

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 艦これアニメはじまりましたねーってことで、以前randam_butterで出した艦これ同人誌「ふとん鎮守府」掲載の艦これ二次創作を公開します。 夢枕獏ねたにかこつけてなんとはなしに書いたものだったのですが、書いてみてから自分でも思っていたより赤城さん加賀さんが好きなことに気がつきました。あと瑞鶴翔鶴。 艦これアニメはとりあえずクロスアンジュばりに毎週ことあるごとに入渠(風呂)してほしいと思っていますが、そう...

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売れ残りのクリスマスケーキ

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 クリスマスケーキと話をしたことがあるだろうか。 信じてはもらえないかもしれないが、俺はある。* 昨年の冬のことだ。 例年のようにとくになにごともなくクリスマスをやり過ごした俺は、会社帰りにコンビニへ立ち寄ったついでに、半額で叩き売られていたクリスマスケーキを買った。 それは雪のようなホワイトクリームをベースに小さな苺の切り身が乗っかったホールケーキで、レジのすぐ前で「半額!」のポップとともに雑然...

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ナイフで刺されたがとくに何事もなかった話

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 人は中年になるとしきりに昔のことを思い出すようになる。少なくとも俺はよく思い出す。ああ、そういえば俺にも高校時代ってやつがあったよなあ、と高校を舞台にしたアニメなんかを観ながら思い返す。 共学ではあったけれど女っ気は皆無だったし、部活とかで熱いバトルを繰り広げたりもしない凡愚きわまるハイスクールライフを送っていたが、そういえばナイフで刺されたことが一度だけあった。今も腹部に傷痕が残っている。 高...

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世界の終わりに敦盛を舞う

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 一時間あまりの通勤時間の間に、運が良ければ三人か四人ぐらいは敦盛を舞っているサラリーマンを見かけることができる。 とは言っても、扇をかざして小鼓の伴奏に合わせ足拍子を踏み鳴らしているような人は、さすがにあまりいない。そのような本格派を見かけるのは、俺にしても十数年の社会人生活の中で二、三度ぐらいしかない。 たいていの人は、ごくささやかに敦盛を舞っている。 それは電車の吊り革につかまる手の微細な動...

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忘年会

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 職場の忘年会があった。 年の暮れも迫ってきたとある平日の夜。仕事が終わり、職場のビルから宴会の会場へと移動する。職場の同僚と客先の社員、合わせて十数名ほど。 店は駅から少し歩いたところにあった。 海辺にある繁華街。風が強かった。暗い色をたたえる海水からたっぷりと冷気を吸い取った風は、俺たちの衣服の裾から容赦なく入り込んだ。みな、寒い寒いと言いながらコートの合わせを握りしめていた。 俺はコートを着...

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いつか、遠い昔のシューティングゲームを

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01 連合宇宙軍第七番母艦《ノイマン》、医療区画第一病棟、フロア二のB室、そこに設置された六十四基の胎盤ポッドのひとつから、あたしは生まれた。この時代、ほぼ万に一つ、奇跡に等しい確率でしか生まれない”正常な”遺伝子を持つ人類として。 百年前の地球脱出における”根汚染”のおかげで、生後一時間と生きられない未熟児・奇形児の発現率が激増した。いまや胎児段階におけるナノマシンを使った発現形質の調整や、未発達器官...

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百万円もらえる夢

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 初夢の話をしよう。 夢の中で、俺はふわふわした空間にいた。 あのいかにも夢っぽい、いろいろなものがあやふやなところに俺はいた。 座っているでも立っているでもなく、ただそこに存在していた。 そこへ、誰かの声が聞こえた。「おまえにお年玉をやろう」 頭の上のほうから響いてきたその声はとても重々しく荘厳で、なんとなく俺は「あ、これは神の声だな」と思った。もちろん本当のところがどうなのかはわからない。そも...

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休日出勤帰りの戦士

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 土曜日だったが仕事で出勤。 朝からひどい雨だった。 夕方、仕事を終えて職場を出ても雨はまだ降り続いている。「くそっ、まったくひどい一日ですよ!」 駅まで帰り道がいっしょの客先の男性社員が、雨に濡れながら悪態をついている。 この人はえらく短気で口も悪いが「仕事なんざ基本的にどうでもいい。が、それでも手を抜かずにやる」というスタンスの人で、俺は嫌いではない。 強い横殴りの風が吹いており、傘がほとんど...

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かみはしんだ

ゲームボーイ用ソフト「魔界塔士 Sa・Ga」より 幾百の世界をつらぬき、その中心にそびえ立つ巨大な塔。 この世でもっとも高い場所、塔の世界の最果てで、ぼくたちは神を殺した。 このゲームをクリアした日のことを、ぼくは生涯忘れない。 神の死は唐突に告げられた。 有名なニーチェの言葉でもなく、ましてや天から響く荘厳な言葉などでもない、それはぼくの手のひらに収まる160×144ドットで構成されたモノクロ4階調の液晶画...

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そして誰も

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 なんとはなしに職場で年末年始の帰省についての話になり、俺が「もう五年近く実家に帰っていない」と言うと、後輩の河東くんはええっ、と声をあげる。「マジっすか。自分なんて毎年、三回は帰ってますよ」 盆と正月、そしてゴールデンウィーク。 へえ、すごいねえと俺が感心すると、彼は怪訝そうな表情を見せる。おそらく彼の中で帰省というものはまるで呼吸のようにごくあたりまえの行為なのだ。したがって、帰省しないという...

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ネガティブの行方

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「蟹を見張る仕事には未来が見えません」 最近やたら無断欠勤が続く若い部下の口から、そんな言葉を俺は聞かされている。 その手の賢しげな諦観は聞き慣れている。 不平、不満、絶望、この世のありとあらゆるネガティブなものを吐露する若者。 それを受け止める上司たる俺。 そうして俺の中にたまったネガティブはいったいどこの誰にぶちまければいいのだろう、と思いながら俺は若者の澱んだ瞳をながめている。 俺が誰かに不...

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夜中に書く日記

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 仕事で深夜に帰ってきて、明日着ていくワイシャツが一着もないことに気づいて洗濯をしており、その合間に書かれている文章がこれだ。 洗濯はまだ終わらない。 仕事について。 例によって蟹の籠をどうこうするアレなのだけれど、今やっているのはもういい加減古くなってきた籠の副槽増設に関する作業で、早い話が蟹のブリーダーとか籠のメーカーの間に立ち、いい具合に板挟みになって煩悶するというすばらしい仕事だ。 正直、...

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栄光について

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 あけましておめでとうございます。 昨年の終わりの日、紅白歌合戦で巨大な幸子を目撃した瞬間から寝続けて、七日七晩眠り続けて、七つの朝と七つの昼、そして七つの夜を経て、ようやく俺は目覚めたような気がしたがもちろんそんなことはなく、元旦から六時間寝て、十時間を無為に過ごしてまた六時間寝る、ということを何度か繰り返して今に至る。 神はだいたい六日間ぐらいで世界をつくり、七日目には休んだ。 俺という人間は...

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過労とハイエルフ

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 先日、新しい蟹籠の手配時に淡水と海水を間違ってぶち込むという致命的なミスをやらかし、その後の処理やらなにやらで疲れている。 忙しい。 疲れた。 腹減った。 終電。 土日も仕事。 そういう感じで日々、忙しくて己の心がすさんでくると、世の中すべてがすさんでいるように感じる。 たとえば一昨晩、終電で帰った駅の階段に割れた酒瓶が放置され、激しく酒精の香りをまき散らしており、俺はそこに果てしない場末の匂い...

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エスカレーターでのキス

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 かつてないEROティックさを感じさせるタイトルの日記だけども、もちろん俺自身のキスのことではなく、俺が一日の長い長い業務を終えて帰路につき職場から五分ばかり歩いたところにある東京メトロのエスカレーターを降りているときに、すぐ前の若者たちがキスをしておったという話だ。 まるで地下洞窟の入り口のように深く降りていくエスカレーターは一人分の幅しかなく、それに乗って自動的に運ばれていく俺は、そのすぐ前で同...

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空気

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 昨晩、今夜と二晩続けて職場の飲み会があった。 この時期にありがちな歓迎会とか送別会とか、あるいはそれらが混じった歓送迎会とか、そういうノリのアレだ。 正直なところ、いまだに楽しく酒を飲んで騒げない気分が続いており、できることならパスしたかったけれども、半分幹事的なことを押し付けられてお店などを予約したりした手前そういうわけにもいかず、まあぐだぐだと食ったり飲んだりしておった。 こういうときに限っ...

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大人のドラクエ

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 RD潜脳調査室を視聴していると思わず「あいつら……太ましいくせに無茶しやがって……」などとつぶやきながらうっすら笑うキモい人間が書いているブログがここですよ。 インターネットにおいてなんだかんだでキモいことを書いているうちに気がつけば8年が経過しておりました。 8年。8年! 思わず二回表記するほどに、それは長い年月ですよ。 生まれたばかりの子供が言葉をおぼえ、小学生になり、九九とかを勉強し、自らの母親に...

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クリスマスデイ

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 明け方までリトルバスターズ!をプレイし続け、目覚めたら昼を過ぎていた。 いつもながらkeyのゲームに出てくるキャラクターはおもしろおかしいなあ。きらきらしてるなあ……などと思いつつ、彼らの学園コメディぶりに一喜一憂しているうちに寝てしまっていた。 閉め切った暗い部屋の中で、つけっぱなしのノートPCのモニタが何か尊いもののようにまばゆく光っていたので寝ぼけたまま覗き込むと、そこには苦笑した表情のヒロイン...

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蟹の神

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 俺は蟹が好きでも嫌いでもない。 だから、この仕事を長くやっていられるのだろうと思う。 俺の人生の大半がカゴいっぱいの蟹を眺める行為で出来ているとしても、それは好き嫌いとは別の話だ。 あんまり蟹に思い入れを抱きすぎると、たいていろくなことにならない。 一昨日の夜間勤務において、後輩のジョンス君が蟹の群れを見やりつつ突然、「天国ってあるんですかね。蟹の」 などと言い出したとき、俺は「あー、うんハイハ...

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気付かなかった愛のこと

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 例によって蟹の番をしていたときのことだ。 冬らしく寒い晩で、シフトの相方はマリー姐さんだった。 マリー姐さんが蟹用捕獲網を分解掃除しながら、俺の方を見るでもなくつまらなそうに言った。「私ね、あんたのこと好きだったのよ」「え」 とりあえず絶句するしかなかった。この職場においてマリー姐さんは年齢不詳の美女、あるいは美少女で通っていた。あきらかに俺より年下にしか見えないのだが、なぜか誰もが彼女のことを...

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苦しみよこんにちは

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「苦しみよ こんにちは」 てのひらのそよ風が 光の中 き・ら・き・ら 踊り出したような気がしましたが幻覚でした おろしたての笑顔で 知らない人にも 「たすけて」って言えたの 日付が変わる前に 帰れなくって 駅前の路地には 小ゲロが仕掛けられていたけど 平気 涙が乾いた跡には オーラロードが開かれた きらめくひかりおれをうつ 今度 苦しみが来ても 友達迎える様に嘲笑〈わら〉うわ 少し扉を 開くだけで...

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奇跡なんかじゃない

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 職場で事故があり、予定していた送別会に出られなかった。 事故は、例によって蟹がらみ。発破系亜種の蟹が混ざっていたらしく、突然網カゴごと蟹どもが爆散した。 年に何回はそういうことがあるので、蟹を見張る場合は支給品の鎖かたびらを装備することがバイトの俺たちに義務付けられていたが、今日のシフトで入っていたイワン爺さんは、腰が痛むとか言いながら重い鎖かたびらを脱いで大きく伸びをしていた。運の悪いことにち...

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魔界塔士

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 帰り、近所のスーパーで惣菜やらを買ったときのことだ。 店内に、ヘルメットをかぶったまま買い物をしている男性を見かけた。 三十代半ばといったところか。灰色のスーツ姿の彼は、晩御飯とおぼしき品々をレジに持って行き、会計を済ませ、カゴからビニール袋に品物を詰め替え、スーパーを出た。 やはりヘルメットはかぶったままだ。 彼に少しだけ遅れるタイミングで私はスーパーを出た。私のすぐ前、1、2メートルのところ...

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同級生

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(某年某月某日 14:32 ノーザンシティ警察署第2聴取室にて)―――そうです、刑事さん。はい。はい。私がやりました。二丁目のゲイリーも、サテラストリートのジャスミンも。ホットドッグ屋のスパチニェフも。 すべて私がやりました。 え、なんですか。 ああ、どうしてやったのかって。 ええ、まぁ、もちろんそういう話になりますよね。そりゃあね。 なんでやっちゃったんでしょうね、私。ハハ。 すみません、べつにふざけてる...

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或るシコロジストの話

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 サム爺さんの話をしようか。 年中ひりつくように寒い、あのノースランドの街外れの公園。 何日かぶりに見かけたサム爺さんは、前に会ったときよりいくらか老け込んだように見受けられた。 最近見かけなかったが、どうしていたんだ、と私が聞くと、一週間ばかり警察に拘留されていたという。 驚いた私が理由を尋ねると、サム爺さんは苦笑めいた表情を浮かべてぽつりと言った。「少々・・・クールビズの度が過ぎたようだ」 あ...

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それをやれ

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 夜ひとりで黙々とニンテンドーDSであり得ない寄生虫をタッチペンで駆除していて、ふと我にかえって自分のどうしようもない孤独さと惨めさに驚愕することがある。 今さら驚くことのほどでもないんだけど。 うっかり今この場で頓死しちまったら俺、いったい何ヶ月後に遺体発見されんだよと。 意味もなくそんな考えに囚われ、意味のない焦燥感にかられてこのようなことを書いていると、俺という人生のログを残してるような気分が...

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理不尽とか不条理とか

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 バイト帰りに、駅の改札付近で殴られた。 女の子に。棍棒で。 終電間近の混み合った電車を降りると、駅の構内がちょっとしたパニック状態になっていて、よくわからないが誰かが暴れているようだった。 喧嘩か何かだろうか。 そう思いつつ、私は喧噪をかき分けて改札に向かう。 気がつくと、混み合っていたはずのまわりには誰もおらず、ただ、私の前方にひとり、女の子が立っていた。 白いワンピース。点々と血が散っていた...

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クッパについて

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 実は僕、クッパがそんなに嫌いじゃない。 なんていうか、どうしても憎めない。 だって彼は、基本的にはピーチ姫が好きなだけなんだよ。好きで好きでたまらなくなって、ついさらってしまうんだ。 そりゃ人を誘拐するのは悪いことさ。でも彼はいつだって、ピーチ姫に危害を加えたりはしない。 僕やマリオ兄さんに対しては、ものすごい勢いで殺しに来るけどね。まぁでも、それだって、たぶん彼の行き場のない憤りの現れなんだな...

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マリオ兄さん

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 毎度毎度ピーチ姫のさらわれッぷりには、少し目に余るところがある。 それは兄さんだって、本当はわかってるはずだ。 キノコ王国のセキュリティ体制がどうなっているのか、正確なところはわからない。 でも、さらわれすぎだろ。いい加減。 むしろ進んでさらわれているのではないか。そんな疑念すら抱かせる。 あの女。 ピーチ姫。 邦訳すると桃色姫。 くっ……名前からしてすでに淫欲の香りがプンプンするじゃないか。 も...

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