神への願い

2012/07/24

 同人誌(バブルピース)も無事に完成したことだし、あとは程よく売れますようにと神頼みをしに行ってきました。
 某所のとある神社へ。

「同人誌が売れに売れて、濡れ手に粟の平和な生活ができますように。バブルピースだけに」

 バブル=泡=粟
 ピース=平和

 という、よしりん全盛期の茶魔語にも匹敵する高度な言語的手腕を駆使して神々に祈願したのち、なんとはなしに絵馬を眺めていたんですが……いろいろな人の夢や願いが交錯し錯綜する、ここはまさにドリームスクランブルですね……。

友情
 イラスト上手い! 可愛い!
 たぶん仲の良い女の子たちで来たのでしょう。
 心あたたまる一枚です。
 個人的な題名は「友情」……まんまですが。
 

飛翔
 これも微笑ましい。
 微笑ましいですが、同時に涙ぐましさも感じます。
 恵方巻が大量に売れ残ったりしたんでしょうか……柳沢付近の人々はご協力お願いします。
 個人的な題名は「飛翔」あるいは「節分」


不死
 不死。
 それは秦の始皇帝の時代より追い求められし、人類究極の夢――。
 シンプルかつ力強く記された、見果てぬ願いに心打たれます。
 題名はずばり「不死」


慇懃
 いつも神様ありがとうございます、という絵馬会でも指折りとおぼしき物腰の低さと、それにつづく機関銃のごとき願い事のギャップに、きっと神も心を動かされるでしょう。
 財運と金運って、具体的にどう違うのか俺にはわかりませんが、とにかくどちらにも恵まれたほうがいいことは間違いありません。
 これに付ける個人的題名は「慇懃」


欲望
 我が目を疑いました。
 三十数年生きてきて、絵馬にここまでむき出しの願い……いや欲望を書き綴ったものを……俺は初めて拝見いたしました。

美人でかわいく
スタイルのいい
巨乳の
女子高生から話しかけられ
お願いされて
SMプレイを
女子高生数人ともできますように

 

 SMプレイを女子高生と……しかも女子高生数人と!

 公共の場に飾ってよいのか微妙なほどの、それはおそるべきゲスな願いですが……その前段の文章も秀逸です。
 美人でかわいくスタイルのいい巨乳の女子高生……というこれ以上ない完璧な指定。
 あまつさえ「話しかけられ」「お願いされて」と、あくまで女子高生側に主体性を置くことでそこはかとない合法性を演出するというクレバーさ。
 アウトかセーフかで問われれば間違いなく即刻退場ものの絵馬ですが、欲望むき出しなのに保身は忘れない……尻を隠しながら頭を隠さない……そんな、どこか賢者然とした雰囲気を感じます。
 とんだERO賢者です。

 個人的につけたい題名は「渇望」
 この絵馬書いてるとき、もしそばにベヘリットがあったら、即刻ゴッドハンドを呼び出せたと思います。
 



……えー、そういう次第で、重ね重ね夏コミではrandam_butterおよび拙著「バブルピース」をよろしくお願いします。
 ちょっとした「おまけ」も作成中です。
 近日告知できるかと思います。

長編「バブルピース」完成しました

2012/07/17

 詳しくは同人ブログにて。

 最初の企画からはや二年が過ぎ去ってしまいましたが、完成しました。
 二年分の綺麗な井上、そして汚い井上を出し尽くしました……。

 よろしければどうぞ。

[水泳大会]松本紗理奈

2012/07/06

 とある都内の繁華街、その外れにある通称「羅生門」と呼ばれる酔っぱらいと宿無ししかいない小汚い通りの、さえないネオンが光るビルの二階。
 その行きつけの店に入ると、すでに彼はいつもの席でテキーラのスタドリ割りをあおっていた。

「はじまったねえ、とうとう」

 私が隣の席に座ってマスターに同じものを頼むと、彼はしみじみとつぶやいた。

「アイドル水泳大会、ですか」

 彼は首肯する代わりにテキーラを飲み干し、生臭い息を吐き出した。

「ああ。プールが血の色に染まる……プロデューサーにとっての血の池地獄さ」

 まあイベントはいつだって地獄だがな、と彼はくっくっと嗤う。
 違いない、と私は思う。

 数日前から開始されたモバマスの新イベント「アイドル水泳大会」
 例によって私たちプロデューサーはイベント専用の仕事場を駆けずり回り、点数を集めて報酬を入手することに血道をあげる。
 常軌を逸したおびただしい点数を集めて、見事上位ランキングに入賞したプロデューサーには、コスト帯16前後の強力なSレアアイドルが報酬として与えられる。

「見たかい、今回の上位報酬」
「ええ。あれは……あざとい」

榊原里美

 榊原里美。17歳。山形県出身。
 バストサイズ91を誇る、モバマス界屈指の童顔巨乳アイドル。
 コンプガチャ用のレアアイドルとしてデビューして以来、根強い人気を博していたが、今回満を持しての強Sレア化である。
 その絵面たるや、ウォータースライダーを滑りおりながらビキニの紐が外れかけている……というすさまじいもので、俺が「ルナ先生」のわたるであったら目玉を円錐形に飛び出させながら「で~っ、きわで~っ!」と叫んでいたであろう。
 これまでのSレアアイドルをすべて過去にしかねない性的破壊力をもった、それはまさに化物であった。

「血の池さ」

 重ねて吐き捨て、彼はさらに酒をあおる。
 今日はやけにペースが早い。彼にしては珍しい。
 まるで苛立ちそのものを飲み干し、体内で増殖させようとするかのようにスタドリ割りを臓腑に流し込んでいる。


 思えば、彼とはずいぶん長い付き合いになる。
 初めて会ったのは、この店のある通り――羅生門と呼ばれる――の一角だった。
 その日、なにかよくないことがあったのだろう。
 理由は忘れてしまったが、私は若くもないくせにスタドリとエナドリとウォッカをちゃんぽんで死ぬほど痛飲した結果、あられもないほどに酩酊し、電柱の根本に反吐を盛大にぶちまけていた。
 不意に私は、すぐ近くで同じような姿勢で同じような色の吐瀉物を製造している男の姿に気付いたのだが、つまりはそれが彼だった。
 私たちは互いをまじまじと見やり、奇妙な可笑しみを感じて、その場で胃の痛みをこらえながらひとしきり笑った。
 そして意気投合し、再び別の安い店でスタドリベースの酒をしこたま飲み、ともに吐いた。


「――さすがは皆が待ち望んでいた水泳大会さ。”エコノミー”の大槻唯もいいアイドルだ」

大槻唯

 「エコノミー」とはプロデューサー間で用いられる隠語の一つで、文字通り「廉価版」を意味する。
 尋常ではない量のモバコインをつぎ込んでようやく得られる超希少な強Sレアアイドルに対して、それなりに頑張れば誰もが手に入れられる”親しみやすい”Sレアアイドルのことを指す。
 今回のエコノミーに抜擢された大槻唯は、ノーマル畑から春の花見イベントでの下積み時代を経て、今回初めてのSレア化であった。
 いつでも誰にでも明るく接し、健康的な色気をもつ彼女のファンは、多い。
 今回の大胆な水着Sレア化で、さらに人気は高まるだろう。

「いったい、なにが気に喰わないんです」
 迂遠な揶揄をつづける彼に、そう問うてみる。

「……松本紗理奈の扱いだよ」
「松本って……あの、松本ですか。コスト2の」
「3だよ、彼女のコストはッ!」
 彼はグラスをカウンターに叩きつけるように置く。マスターが顔をしかめる。

松本紗理奈

 松本紗理奈。22歳。バストサイズ92。
 胸の大きさぐらいしかアピールポイントが無いためだろうか。モバマス創成期から存在する古参のアイドルにも関わらず、Sレア化はおろかレア化の経験すらない。
 同コスト帯のノーマル出身アイドルが次々とレア化、Sレア化を果たしていく中で、松本は未だにモバマス界の底辺を這いずっていると言っても過言ではなかった。

 だが、彼女は今回の水泳大会イベントで、初めて限定アイドルとして登用されている。
 遅咲きの感はあるが、十分な快挙と言えるのではないか。
 私がそう言うと、彼は強くかぶりを振った。

「わかっている。レアではなくノーマルの限定アイドル化とはいえ、これは喜ぶべきことだよ。ことに、駆け出しプロデューサーの頃から松本紗理奈に長らく世話になり……人知れず彼女を応援している俺のような者にとっては福音と言ってもいい。だが、彼女の扱いは……同じ限定ノーマルのメアリー・コクランが出ているシンデレラガールズ劇場にもなぜか一人だけ登場していない彼女の扱いは……まるでテレビ画面の右下あたりで小さく切り取られ、誰にも注目されずに歌っている木っ端アイドルのようで……そしてその境遇にまったく気づいていない、いつも通りの調子に乗った言動が……悲しいんだ」

 そして同じぐらい愛おしいのだ――と、正体の無いほどに酔いが回った彼は言った。
 ろれつは怪しかったが、その語気は力強かった。

「畜生、松本紗理奈、強くなくともSレア化……せめてイベントでレア化だけでもしてくれんかなあ。そうしたら、『数年後にAV女優になってそうなモバマスキャラNo1』だとか……ファミコン版ファイアーエムブレムのアベルか、外伝のクリフに口もとがくりそつだとか、そんなたわけたことは誰にも言わせないのになあ……畜生……」

 もはや半ばカウンターに突っ伏すようにしながら、彼は繰り言と切なる望みを交互に口にする。

「なあ、きみ、無理かなあ……。松本はこのままレア化もできず、ずっと移籍要員か、他のアイドルのレッスンパートナーなのかな……?」

 神ならぬ――運営ならぬ身の自分には、なんとも答えようがない。
 それでも私は黙ってエナドリ割りを追加で注文し、今宵は彼に負けないぐらい酔ってみることに決めた。


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