正月にエヴァ破を観る

2011/01/06

 あけましておめでとうございます。
 冬コミで出した新刊「PLAN B」通販始まりました。
 興味ありましたらよろしく。


 正月は、まあ例によって特に書き記すような出来事もなかったのだが、あえて挙げるならヒライが来てぐだぐだしていったことぐらい。
 ヒライは持参した焼酎("ナポレオン"などと書かれている安い感じの酒)をひたすら飲んでいた。
 俺がゲームやったりする横で、黙ってコップに酒とサイダーを混ぜて注ぎ、飲んでいた。
 というか、飲み過ぎていた。
 どれぐらい飲み過ぎていたかというと、

「ひとつ、気づいたことがある」

 いきなりヒライが深刻そうに語り出し、なんだよ、と俺が面倒くさげに問うと、彼は腹立たしいまでのドヤ顔で、

「ぼくは……飲み過ぎてる」

 などと自ら高らかに宣言するほどに飲み過ぎていた。

 その後、しきりに
「少なくとも600ミリリットルは飲んでる」
「いや、700ミリリットルぐらいかもしれん」
「いやいや、やっぱり600ぐらいか……」
 というような繰り言をつづけていた。
「どうでもいいわ!」と俺が切り捨てるまで言いつづけ、そして唐突に寝た。

 俺はゲームを遊んでいて、寒そうなソビエトの収容所を脱出するステージをクリアしたところでXBOXの電源を切った。
 ふと気がつけば2011年で、今年は俺もどこかへ脱出できるのだろうかと思いながら横になった。
 
 なにか夢を見ることもなく薄暗い部屋で目覚め、もそもそと酒のつまみの残りを食い、それが尽きるとメシを食いに出かけた。

「あー、エヴァ破観てえな」

 ヒライがそんなことを言い出し、部屋にあったエヴァ破のブルーレイを再生する。

「もう俺ら、ちょっちの人より年上なのか」
「何回観てもちょっちの人は好きになれないな、なぜか」

 俺たちは葛城ミサトのことを「ちょっちの人」と呼ぶ。なぜなら、彼女はことあるごとに「ちょっちね」などという言葉を吐き、俺たちの繊細な心にしょっぱい塩をすり込むからだ。

「ゲンドウさんの部屋って無駄なスペース多すぎないか」
「ゼーレの人たちに囲まれながら会議してるあの部屋もスペースの余剰ぶりがはなはだしい」
「そもそも、なんで四方を包囲されながら会議してるんだろう。あれは疲れるんじゃないか」

 そうして俺たちは、理不尽なもの、余計なものを許容できない己の狭量さ、矮小さを、正月早々胸いっぱいに抱きしめる。

「あらためて観ると加持さんホモホモしいな」
「あと、すげえ意味深なことばっかり言ってるな」
「でも俺たちより年下なんだよな」

 加持さん、ゲンドウさん、冬月さん、カヲルくんのことを俺たちは「エヴァ意味深四天王」と称する。なぜなら口を開けば意味深なことばかりを言うからだ。
 彼らはとにかく
「ネブカドネザルの鍵だよ」
「はじまったな」
「ゼーレが黙っちゃいませんぜ」
 などという意味深な言葉を次から次へと繰り出すのだ。
 これだけ意味深なことばかり言っていてまともな日常生活が送れるのだろうかと心配になるほどだ。
 そんな四天王の姿を見ながら、俺はぽつりと漏らす。

「ちくしょう、俺も一度ぐらい意味深なこと言いてえよ……」

 思えば生まれてこのかた、底の浅い言葉しか吐いたことがない我が身に気づく。

「俺さあ」

 物語は終盤。
 シンジくんが綾波レイを威勢よく一本釣りし、エヴァがよくわからない力に目覚める。
 重力がおかしくなったのか、いろいろな物体が周囲に浮かんでいる。

「俺さあ、大人になったら誰でも意味深なことを言えるようになるんもんだと思ってたよ」
「はは……」

 俺たちの口もとに弱々しい笑いが浮かぶ。
 ネルフ本部がほとんど壊滅し、極めて危険な状況にもかかわらずゲンドウさんが冷静に「計画通りだ」などと言っており、意味深なことをつぶやくのも命がけなのだなと思う。


 今年もよろしくお願いします。
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