スポンサーサイト

--/--/--

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

或るシコロジストの話

2005/08/09

 サム爺さんの話をしようか。

 年中ひりつくように寒い、あのノースランドの街外れの公園。
 何日かぶりに見かけたサム爺さんは、前に会ったときよりいくらか老け込んだように見受けられた。
 最近見かけなかったが、どうしていたんだ、と私が聞くと、一週間ばかり警察に拘留されていたという。
 驚いた私が理由を尋ねると、サム爺さんは苦笑めいた表情を浮かべてぽつりと言った。
「少々・・・クールビズの度が過ぎたようだ」

 あえて私はそれ以上の追求はせず、持ってきたブランデーの瓶を開け、彼にすすめた。
 酒が深まると、彼はいつもシコロジーの話をする。
 シコロジーとは、彼の提唱する独自の理論で、自慰行為がどれだけ人類に有益であるかを証明するものであるらしい。そのため彼は自らのことを「シコロジスト」あるいは「シコリスト」と称していた。

「エルフで抜けるか否かで、人生の勝ち負けが決まる」
 サム爺さんが、不意にそんなことを口にした。彼の提唱するシコロジーの世界においては、そういう法則が成り立つらしい。
 私は過去、ドラゴンナイト4という18禁ゲームにおいてエルフで抜いたことがある、と告白すると、彼は軽く鼻を鳴らして、つまらなそうに酒をあおった。
 しかし私は当時パソコンを持っていなかったため、ゲームの原画集をひそかに購入して抜いたのだ、と追加で告白すると、なぜか気分を良くし、私の肩をバンバンと叩いた。

「俺ァな、ディードリットで抜いた。しかも小説の1巻」
 たいへんなことを言い出すサム爺さん。
 オイオイ待ってくれ。私もあの傑作ファンタジー小説は読んだ。読んだが、さすがに抜けるような要素はなかったように思う。ディードリットに関しては「少年と見まがうような体型」との描写すらあったはずだ。
 いったいどうやったらそんなディードリットで自慰を行えるというのだ、と問い詰めたが、サム爺さんは「ディード、風の守りを頼む・・・」などと、意味のわからないことを延々と小さく呟くのみで、その意識はすでに違う場所へと飛んでいるようであった。
 あまつさえ、
「俺、ちょっと村長ンとこ行ってくる!」
 そしてゴブリン退治の依頼を受けてくる、などと言い出したサム爺さんを必死で押しとどめる。私もそうとうに酔っていたため、かなり苦労した。そもそも作中、ディードリットとはゴブリン退治した後に街中で出会うはずだったが、そのようなことは爺さんの中であまり重要ではないようだ。
 やがてサム爺さんは眠りについたようだった。

 目を閉じたまま、彼はうわごとのように言った。
「人間、エルフで抜けなくなったら終わりだ。終わりだよ・・・なぁ!」
 わかった、わかったよと、彼の腕の辺りを軽く叩いてやる。
「・・・人類の・・・人類の叡智の到達点、それがエルフ自慰なんだよ・・・なんで奴らはそれをわかろうとしないんだ・・・畜生・・・畜生・・・」
 それからしばらく、サム爺さんの呟きは続いた。
 そういえばオリジナルアニメ版のディードリットは非常にエロかったことを私はふと思い出し、サム爺さんに同意を求めてみた。
 サム爺さんは、もう返事をしなかった。
関連記事


コメント

  1. 右手首 | URL | -

    なんていうか、生々しい。むしろ生々しすぎる。

  2. あいつ | URL | -

    俺は闘神都市2のクライアイベントで
    シコロジストとして
    次の段階に進んでしまった気がするんだ

    なあ

コメントの投稿

(コメント編集・削除に必要)
(管理者にだけ表示を許可する)

トラックバック

この記事のトラックバックURL
http://randamhexa.blog5.fc2.com/tb.php/40-768bf894
この記事へのトラックバック


RECENT ENTRY


上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。