アヘ顔、そしてピース

2011/05/26

 俺の前方に男が座っている。
 二人。

 一人は田中天
 一人はK(仮称)

 彼らは口をそろえて次の言葉を発した。

「アヘ顔」
「ピース」


――今、なんと?

 俺は問い返す。
 こいつら今、なんつった?

「おいおい『アヘ顔ピース』だよ。知らないのかね」
「仕方がない。そんなきみに『アヘ顔ピース』のすばらしさについて、我らがとくと教えてやろう」


 そうして俺は「アヘ顔ピース」についての話を聞くことになった。三時間ほど。

――まずアヘ顔っていうのは、あれですか。その、女性のEROい表情ですよね。

「そうだね。白目をむいて舌を伸ばして『あひぃ』とか言っているときの表情だね」

――ああ、はい、なんとなく想像つきます。(参考:google画像検索
  正直、俺、あの表情ちょっと苦手なんですけど……
  「この人だいじょうぶなの?」って、若干心配になってしまうというか

「なにを言う。女性の快楽を表現する最上級のものだ。すばらしいじゃないか」
「アヘ顔という言葉は、ここ数年内で発明された、もっともすばらしい言葉だよ……不思議と、我々が生まれたときから共にあったような気すらするがね」

 二人は蔑みのまなざしで俺をさいなむ。

――すいません、まあアヘ顔の好き嫌いは置いておいて、
  なんで「ピース」なんですか。
  なんでそういう状態でピースしちゃうんですか?
  そして、その行為のどこがいいのですか?

「それを具体的に説明するのは難しい。とても難しいんだ」
「そうだ、わかりやすくきみの好きなロードス島戦記で説明してあげよう」


――ええっ?……はあ、お願いします。

 内心「なんとありがた迷惑な」と思いながら俺は話の先を促す。

「想像してごらん。ディードリットがものすごい勢いでヤられている」

――はあ。

「ものすごい勢いでパーンとパンパンやっており、ときおり『あひィ』などとよがっている。普段ハイエルフなどとお高くとまっているが、こうなってはとんだメス豚だ」

――ええ。パーンとパンパン……。

「きみは、その様子をハンディカメラで撮影しているエトだ。そう想像してごらん」

――そんなエトは嫌だよ!

「絶頂に達しアヘ顔のままのディードリットにピースをさせ、それを撮影する……荒い走査線越しに見える彼女の痴態……どうだい、興奮するだろう」

――う、うーん……。

 ご丁寧にわざわざロードス島戦記で例えてもらったが、どうにも理解しがたい世界であった。

 その後、長きに渡ってアヘ顔ピースについての談話を聞く。
 たとえば、

「アヘ顔ピースを教育の現場に利用すればよいと思うんです」

――今、なんつった?

「歴史の教科書あたりに適用すれば印象に残って教育効果抜群だと思うんですよ。『あひィ~ッ、開闢しちゃうぅぅ、宇宙開闢(ビッグバン)しちゃうのぉぉぉっ!』みたいな」

――いやいや無理だろ。むしろ教育に悪いでしょう。

「アヘ顔ダブルピース!」

 もはや会話にならない。
 だが儀礼として、俺は彼らに問いかける。

――なんですか、そのアヘ顔ダブルピースというのは。

「なにって……アヘ顔ダブルピース、すなわち両手でピースだよ」
「ピースピース!」


――えーと、桃太郎電鉄のボンビーというか、えのん的なものですか?

「違うよ、全然違うよ」
「どうやらきみには、まだアヘ顔ダブルピースの概念は早すぎたようだね」


 そして、またなぜか蔑みの視線を受ける。

 わからない。
 三時間あまり話を聞いても理解できない。
 なぜ、アヘ顔にピースなのか。
 あまつさえダブルピースなのか。

「深く考えるなよ」
「ピースピース!」


 いつかそれらの疑問にも、俺なりの答えが出せるのだろうか。
 それまでは、ただ、この男たちの前にひれ伏すしかないのだろうか……。



※注意※
 この話はフィクションです。
 ほとんど。
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