やまない痛風(かぜ)

2011/07/23

 金曜日。
 ユリノームとウラリット(痛風の薬)を服用しつづけて一ヶ月が経過し、再検査の結果を聞きに病院に行ってきた。

「Congratulation」

 ジャマイカンとおぼしきドレッドヘアの医師は、俺が診察室に入るなり言った。

「尿酸値ほか、すべての値が基準値以内に収まっている。だいぶ節制したようだな」

 医師は「尿・尿・尿酸値」「DA・DA・だいぶ」などと、一人ラップ……とでもいうのか、なぜか一部の語頭をリズミカルに繰り返すため聞き取りづらかったが、だいたいそんなような意味の言葉を並べた。
 これほど目に見えて値が改善されるのは、わりと珍しいという。
 また一ヶ月間このまま薬を飲みつづけるように、と新たに処方箋を渡された。


 翌日、土曜日。
 家からもっとも近くにある薬局に行く。
 受付のお姉さんに処方箋を差し出すと、渋い顔をされた。
 あいにくウラリットの在庫が一錠もないという。

 仕方がないので、前に薬を処方してもらった薬局に向かうことにする。薬の包みにファンシーなシールを貼ったり、やたら黒糖飴をくれるおばちゃんのいる、あの薬局だ。

 その薬局は外から見ると妙に薄暗くて若干入りづらい雰囲気があるためか、俺の他には誰もいない。
 横開きの戸を開けると「はーい、いま行きます~」と奥からおばちゃんの声。
 受付に現れるなり、おばちゃんは「はい」と、まるで名刺がわりのように黒糖飴を一粒差し出す。もはやさしたる疑問をもつことなく俺はそれを受け取る。

 おばちゃんが奥に戻って薬を用意している間、無人の待合スペースに腰をおろす。その最奥に座っているテディベアが、つぶらな瞳で俺を見つめている。

「ごめんなさいねえ」

 おばちゃんが受付カウンターにやってきて、ウラリットの在庫が三十錠ほど足りないことを告げた。
 じゃあ、残りはまた来週取りに来ます。
 俺がそう言うと、おばちゃんは「また元気に来れますように」と、もう一つ黒糖飴をくれた。
関連記事

トラックバック

この記事のトラックバックURL
http://randamhexa.blog5.fc2.com/tb.php/428-430d600b
この記事へのトラックバック


RECENT ENTRY